第112回医師国家試験 F70
第112回国家試験 F70
中年の女性。意識障害のため救急車で搬入された。 現病歴:ホテルの部屋で倒れているのを従業員が発見し、呼びかけに反応が乏しいため救急車を要請した。救急隊到着時にはけいれんしていたが、搬送開始直後に治まった。 既往歴:不明 生活歴:不明 家族歴:不明 現症:意識レベルは JCSⅡ-20。身長 160 cm、体重 50 kg。体温 38.6 ℃。心拍数 106/分、整。血圧 94/50 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 100 %(マスク5L/分 酸素投与下)。皮膚はやや乾燥。瞳孔径は両側 6.5 mm で、対光反射は両側やや緩慢。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は減弱している。四肢に麻痺はなく、腱反射は正常。 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。 血液所見:赤血球 450 万、Hb 13.9 g/dL、Ht 42 %、白血球 11,200、血小板 16 万、PT-INR 1.2(基準 0.9〜1.1 )。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dL、アルブミン 3.9 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 46 U/L、ALT 32 U/L、CK 1,500 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、 クレアチニン 0.8 mg/dL、血糖 98 mg/dL、Na 141 mEq/L、K 4.5 mEq/L、Cl 102 mEq/L。動脈血ガス分析(マスク5L/分 酸素投与下):pH 7.35、PaCO2 28 Torr、PaO2 100 Torr、HCO3- 15 mEq/L。 心電図は洞調律で不整はないが、QRS幅が広がり QT 間隔の延長を認める。ST-T 変化を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比と肺野とに異常を認めない。頭部 CT に異常を認めない。
中毒物質の迅速簡易定性に用いられる検体はどれか。