第113回医師国家試験 F75
第113回国家試験 F75
70歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。 現病歴:4年前に縦隔腫瘍に対し摘出手術が施行され、病理検査で軟部肉腫と診断された。2年前に肺転移に対して2か月間アドリアマイシンが投与され、その後病変の増大はない。1か月前から倦怠感があり、数日前から労作時の息切れを自覚するようになった。ここ3か月で 3kg の体重増加がある。 既往歴:45歳から高血圧症で内服加療。 生活歴:喫煙は20歳から33歳まで20本/日。飲酒は機会飲酒。 家族歴:母親は肺癌で死亡。 現症:意識は清明。身長 172 cm、体重 63 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 164/78 mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒脹を認めない。胸骨正中切開の手術瘢痕を認める。Ⅲ音を聴取し、心雑音を認めない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢末梢に冷感を認めない。両側下腿に浮腫を認める。 検査所見:血液所見:赤血球 399 万、Hb 11.6 g/dL、Ht 38 %、白血球 4,000、血小板 16 万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 3.6 g/dL、AST 62 U/L、ALT 81 U/L、LD 251 U/L 基準 176〜353 、尿素窒素 14 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、血糖 97 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 108 mEq/L、脳性ナトリウム利尿ペプチド<BNP>696 pg/mL (基準 18.4 以下)、心筋トロポニンT 0.14 (基準 0.01 以下)、CK-MB 5 U/L (基準 20 以下)。CRP 0.3 mg/dL。 動脈血ガス分析 (room air):pH 7.4、PaCO2 38 Torr、PaO283 Torr、HCO3- 24 mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比は3か月前に 53 %、受診時 58 %。心電図で高電位とV5、V6の軽度 ST 低下を認める。1年前の心エコー検査は正常である。今回の来院時の心エコー検査で左室はびまん性に壁運動が低下しており、左室駆出率は35%。
現時点での治療薬はどれか。3つ選べ。