第115回医師国家試験 C61

第115回国家試験 C61

65歳の男性。食道癌手術後に入院中である。 現病歴:食道癌のため、10日前に胸腔鏡補助下胸部食道全摘術を施行した。術後経口摂取が困難と予想されたため、7日前に右内頸静脈に中心静脈カテーテルを留置して中心静脈栄養を開始した。以後徐々に経口栄養摂取は増加していた。今朝6時のバイタルサインには異常を認めず朝食時も問題なかったが、9時に医師が病室を訪ねると意識障害が認められた。 既往歴: 50歳から高血圧症に対して内服加療中。 生活歴: 昨年まで事務職。喫煙は20本/日を35年間。飲酒は機会飲酒。 家族歴: 両親が胃癌で死亡。 現症: 意識レベルはJCSⅡ-10、GCS E3V4M6。身長 167 cm、体重 48 kg。体温 38.5 ℃。脈拍 114/分、整。血圧 88/50 mmHg。呼吸数 24/分。SpO₂ 96 % (room air)。皮膚は湿澗している。眼瞼結膜は軽度貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。口腔内と咽頭に異常を認めない。中心静脈カテーテル刺入部に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。手術創に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。背部の皮膚に異常を認めない。椎体の圧痛と叩打痛は認めず、また肋骨脊柱角の叩打痛は認めない。四肢は軽度の浮腫を認める。 検査所見: 尿所見:蛋白 (-)、糖 (-)、ケトン体 (-)、潜血(±)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 345万、Hb 10.2 g/dL、Ht 31%、白血球 17,300 (桿状核好中球 28%、分葉核好中球 47%、好酸球 1%、好塩基球 0%、単球 7%、リンパ球 17%)、血小板 16万、PT-INR 1.1 (基準 0.9-1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.0 g/dL、アルプミン 2.5 g/dL、総ビリルビン 1.0 mg/dL、AST 71 U/L、ALT 58 U/L、LD 402 U/L (基準 120-245)、ALP 330 U/L (基準 115-359)、γ-GT 48 U/L (基準 8~50)、CK 143 U/L (基準 30-140)、尿素窒素 25 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL、血糖 122 mg/dL、Na 134 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 97 mEq/L、Ca 8.0 mg/dL、P 4.2 mg/dL。CRP 24 mg/dL。動脈血ガス分析 (room air) :pH 7.45、PaCO₂ 34 Torr、PaO₂ 102 Torr、HCO₃⁻ 24.2 mEq/L。

意識障害の原因として最も疑うべきものはどれか。