第115回医師国家試験 F63
第115回国家試験 F63
83歳の男性。食欲が低下し元気がないため妻とともに来院した。 現病歴: 約5年前から物忘れが目立ち、Alzheimer型認知症と診断されていた。1年前から記憶の低下がさらに進行し、5分前のことも忘れていることが多かった。同居する妻によると、2週前に38℃の発熱があったが市販の総合感冒薬を内服して解熱したという。その頃から家でうとうとしながら座っていることが増え、食事量も半分くらいに減った。1週前、通い慣れている施設から家へ帰る道が初めて分からなくなった。昨日トイレ動作にも介助を要するようになったため、他院において緊急で頭部単純CTを行ったが、異常はなかった。本人は特に苦痛を訴えないが、妻によると3日前から喀痰がみられるという。 既往歴: 糖尿病でDPP-4阻害薬を服用中である。 生活歴: 喫煙は20本/日を40年間。飲酒は機会飲酒。妻と2人暮らし。 家族歴: 父母とも老衰で死亡。 現症: 意識レベルはJCSⅠ-2。身長 165 cm、体重 60 kg。体温 37.0 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 106/60 mmHg。呼吸数 22/分。SpO₂ 94%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右下背部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。瞳孔と眼球運動とに異常を認めない。腱反射は正常で運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。 検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に赤血球、白血球を認めない。血液所見:赤血球 370万、Hb 12.0 g/dL、Ht 36%、白血球 11,300 (好中球 79%、好酸球 1%、好塩基球 0%、単球 6%、リンパ球 13%)、血小板26万。血液生化学所見: 総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、AST 22 U/L、ALT 11 U/L、ALP 217 U/L (基準 115~359)、γ-GT 29 U/L (基準8~50)、アミラーゼ 94 U/L (基準 37~160)、尿素窒素 29 mg/dL、クレアチニン 1.1 mg/dL、血糖 140 mg/dL、HbA1c 6.8% (基準 4.6~6.2)、Na 136 mEq/L、K 4.6 mEq/L、CI 96 mEq/L、Ca 8.2 mg/dL。CRP 20 mg/dL。
次に行うべき検査はどれか。