第115回医師国家試験 F71

第115回国家試験 F71

69歳の男性。物忘れを心配した家族に伴われて来院した。 現病歴:約 1年半前から予定を忘れてしまうことが多くなった。約1年前から、日中、呼びかけへの応答が鈍くなる時間帯があることに気付かれるようになった。半年前から、時折、知らない子どもが隣の部屋で遊んでいると訴えるようになった。これらの症状が徐々に悪化するため来院した。 既往歴:20歳時に急性虫垂炎で手術。 生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。 家族歴:特記すべきことはない。 現症: 意識は清明。意思疎通は可能である。礼節は保たれている。日付の失見当識を認める。失語、失行は認めない。身長 170 cm、体重 60 kg。体温 36.4 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 140/78 mmHg。長谷川式簡易知能評価スケールは 20点(30点満点)。脳神経系に異常を認めない。四肢筋力は正常だが、四肢に軽度の歯車様筋強剛を認める。歩行時の姿勢は前傾しており、歩幅はやや小刻みである。腱反射は正常。運動失調、感覚障害を認めない。 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 437万、Hb 13.5 g/dL、Ht 42%、白血球 6,500、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 6.7g/dL、アルブミン 4.6 g/dL、総ビリルビン 1.3 mg/dL、AST 21 U/L、アンモニア 45 μg/dL (基準 18~48)、尿素窒素 15 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、ALT 17 U/L、尿酸 7.2 mg/dL、血糖 98 mg/dL、HbA1c 5.3% (基準 4.6~6.2)、Na 142 mEq/L、K4.1 mEq/L、Cl 102 mEq/L。頭部MRIでは軽度の大脳萎縮がみられる。脳血流SPECTを別に示す。

受診から2か月後、歩行中に転倒して右上腕骨を骨折し、手術のため入院となった。右上腕部の疼痛を訴え、夜間不眠、興奮状態となり、自分が病院へ入院していることが理解できず病棟内を徘徊するようになった。また、幻覚症状が悪化した。これらの症状には日内変動がみられた。 まず行うべき対応はどれか。