第111回医師国家試験 C29
第111回国家試験 C29
78歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。 現病歴:7月下旬、快晴の日の午前10時ごろ自宅の暑い居間でぐったりしていたのをデイサービスの職員が発見し、救急車を要請した。 既往歴:不明。 生活歴(職員からの情報):冷房装置のない一戸建てで独居。喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:不明。 現症:意識レベルは JCSⅢ-100。身長 145 cm(推定)、体重 40 kg(推定)。直腸温 42.0 ℃。心拍数 116/分、整。血圧 84/46 mmHg。呼吸数 24/分で浅い。SpO2100 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。皮膚は乾燥している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。瞳孔径は両側3mm で、対光反射は両側遅延。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。 検査所見:血液所見:赤血球 510 万、Hb 17.5 g/dL、Ht 49 %、白血球 12,400 (桿状核好中球 12 %、分葉核好中球 43 %、好酸球2%、単球6%、リンパ球 37 %)、血小板 24 万。血液生化学所見:総蛋白 8.5 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、総ビリルビン 1.2 mg/dL、AST 43 U/L、ALT 32 U/L、LD 251 U/L(基準 176〜353)、尿素窒素 23 mg/dL、クレアチニン 1.8 mg/dL。
この患者に輸液を開始しようとしたが、体表に十分な太さの静脈がなく末梢静脈路を確保できなかった。 今後の治療のために確保すべき静脈路はどれか。