第111回医師国家試験 C31
第111回国家試験 C31
74歳の男性。胃癌の治療で入院中に胸痛の訴えがあったため当直医が呼ばれた。 現病歴: 3日前から消化器外科に入院し、昨日の午後に胃癌に対して幽門側胃切除術を受けていた。本日の夕方に胸痛を自覚したため訪室した看護師に申し出た。 既往歴:50歳時に糖尿病を指摘され内服治療中である。2年前に狭心症で経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受けており、抗血小板薬を服用中である。 生活歴:喫煙は 66 歳まで 20 本/日を 35 年間。飲酒はビール 350 mL/日を 40 年間。 家族歴:父親が糖尿病で脳梗塞のため死亡。 現症:意識は清明。身長 169 cm、体重 65 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 136/72 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 94%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。四肢に軽度の冷汗を認める。 検査所見(発症前):血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.3 g/dL、Ht 38 %、白血球9,300、血小板 21 万、PT-INR 1.18(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.9g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 29 U/L、ALT 19 U/L、LD 267 U/L(基準 176〜353)、ALP 283 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 51 U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 75 U/L(基準 37〜160)、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、尿酸 6.9 mg/dL、血糖 98 mg/dL、HbA1c 6.5% (基準 4.6〜6.2)、Na 138 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 1.1 mg/dL。
検査の結果、急性冠症候群と診断した。今後の対応として適切でないのはどれか。