平成27年度(第110回)医師国家試験問題|午後-19問〜午後0問

第110回国家試験 B41

73歳の男性。左眼の視力低下と物が歪んで見えることとを主訴に来院した。症状は6か月前から始まり最近になって増悪したため受診した。矯正視力は右眼1.2、左眼0.3。左眼の眼底写真と光干渉断層像とを別に示す。右眼眼底に異常を認めない。診断に有用な検査はどれか。

第110回国家試験 B42

34歳の男性。統合失調症で入院中である。3年前に統合失調症と診断され、父親の同意によって医療保護入院となった。精神症状は難治であるが、本人には統合失調症についての病識がなく精神科治療を受ける考えもないため、医療保護入院が続いている。2週前に肺癌で手術が必要と診断された。本人に伝えると「手術しないといけないのはわかるが手術は怖い。このまま癌で死んでもかまわない」と手術を拒否した。一方、父親は手術を希望した。現時点での対応として適切なのはどれか。

第110回国家試験 B43

63歳の男性。安静時の左前胸部の絞扼感を主訴に来院した。3週前から階段を上るときに左前胸部の絞扼感が出現するようになった。症状は左前胸部の広い範囲で咽頭部や左肩にも放散する。背部痛は伴わず食事との関係もない。これまでは、3分程度の安静で改善するので様子をみていたが、昨日からは歩行時や安静時にも生じるようになった。本日も午前9時にテレビを見ていたときに20分程度の同様な発作が生じたため心配した家族とともに午前11時に受診した。来院時に症状はない。家族歴と既往歴とに特記すべきことはない。喫煙は 40本/日を41年間。 意識は清明。身長 170 cm、体重 83 kg。脈拍 72/分、整。血圧 168/90 mmHg。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。胸部に圧痛を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。 尿所見:蛋白 (-) 、糖 (-) 。便所見:潜血 (-) 。血液所見:赤血球 480万、Hb 14.2g/dL、Ht 48%、白血球 8,800、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、AST 38 IU/L、ALT 37 IU/L、LD 205 IU/L(基準 176~353)、CK 110 IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 25 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL、トリグリセリド 190 mg/dL、HDLコレステロール 27 mg/dL、LDLコレステロール 148 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 100 mEq/L。トロポニンT 陰性。受診時の心電図は、心拍数 72/分、洞調律で胸部誘導V1からV4で陰性T波を認めるが有意なST上昇や低下を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。心エコーでは前壁から心尖部にかけて壁運動の軽度低下を認めた。 この患者への対応として適切でないのはどれか。

第110回国家試験 B44

67歳の男性。咳嗽を主訴に来院した。1か月前から乾性咳嗽が続くため自宅近くの診療所を受診したところ、胸部異常陰影を指摘され受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は30本/日を45年間。意識は清明。身長165cm、体重70kg。体温36.8 ℃。脈拍92/分、整。血圧138/82mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air) 。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 14.3g/dL、Ht 43%、白血球7,300、血小板30万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 12IU/L、ALT 15IU/L、LD 245IU/L(基準176~353) 、クレアチニン0.5mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 105mEq/L。SCC 6.3ng/mL(基準1.5 以下)。CRP 0.2mg/dL。呼吸機能検査:FVC 4.20L、%VC 101%、FEV1 3.66L、FEV1% 83%。心電図に異常を認めない。胸部CTを別に示す。気管支内視鏡下に肺の原発巣および縦隔リンパ節の生検を行い、扁平上皮癌の診断を得た。全身検索では肺門と縦隔のリンパ節とに転移を認めるが、それ以外にリンパ節転移および遠隔転移を認めなかった。最も適切な治療法はどれか。

第110回国家試験 B45

28歳の初妊婦。妊娠28週。前期破水のため入院中である。妊娠24週に水様帯下を自覚して受診し、前期破水の診断で入院となった。入院後安静を続けて経過観察したが、水様帯下は持続している。本日の血液検査の結果は白血球8,900、CRP 0.1mg/dLであった。入院後週1回実施している腹部超音波検査での胎児推定体重は、正常範囲内で増加している。羊水指数(AFI)は1.0~3.0cm(基準5~25)の間で推移している。 胎児の臓器で発育に注意すべきなのはどれか。

第110回国家試験 B46

77歳の女性。突然の意識障害と右片麻痺のため搬入され入院中である。入院1週後では、開眼し視線は合うが自発語はない。口頭命令で閉眼は可能である。時折、唾液でむせる。右上下肢に随意運動を認めず、上腕二頭筋の筋緊張が亢進している。座位の保持には支えが必要である。入院時の頭部MRIの拡散強調像を別に示す。この時期のケアとして適切なのはどれか。

第110回国家試験 B47

41歳の初産婦。妊娠41週2日に陣痛発来のため来院した。妊娠前から高血圧症があり、妊娠中もメチルドパを内服していた。胎児発育は順調で、3日前の妊婦健康診査での胎児推定体重は2,750gであった。身長154cm、体重61kg。体温37.0℃。脈拍84/分、整。血圧142/86mmHg。尿所見:蛋白(±) 、糖(-)。内診所見で分泌物は褐色少量、子宮口は4cm開大、卵膜を触知し、児頭下降度はSP-3cmである。このときの胎児心拍数陣痛図を別に示す。 適切な対応はどれか。

第110回国家試験 B48

7歳6か月の女児。乳房腫大を心配した母親に連れられて来院した。半年前から左乳房が腫大し、最近になり右乳房の腫大にも気付いたという。意識は清明。身長130cm、体重29.7kg。体温36.1℃。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。Tanner分類で乳房Ⅱ度、陰毛Ⅰ度である。血液所見:赤血球446万、Hb 14.1g/dL、Ht 40%、白血球5,800、血小板23万。血液生化学所見:AST 22IU/L、ALT 11IU/L、LD 242IU/L(基準176~353) 、ALP 1,331IU/L(基準338~908)、尿酸3.6mg/dL、血糖97mg/dL、TSH 3.6μU/mL(基準5.2~14.4)、LH 0.8mIU/mL(基準1.8~7.6)、FSH 2.9mIU/mL(基準0.5~2.5)、FT4 1.3ng/dL(基準0.8~2.2)、hCG 0.4mIU/mL未満(基準1.0以下)。骨年齢は8歳10か月相当である。成長曲線を別に示す。患者家族への説明として適切なのはどれか。2つ選べ。

第110回国家試験 B49

75歳の男性。左上肢の脱力発作を主訴に来院した。高血圧症で治療を受けている。昨日の夕食時に、突然、左上肢に力が入らなくなったことを自覚した。様子を見ていたところ徐々に改善し、就寝時には自覚症状は消失した。本日朝、昨日の症状が心配になり受診した。意識は清明。体温36.7℃。脈拍84/分、整。血圧160/90mmHg、血圧の左右差を認めない。右頸部に血管雑音を聴取する。上肢Barre徴候は陰性である。胸部エックス線写真と頭部MRIで異常を認めない。 行うべき検査はどれか。3つ選べ。

第110回国家試験 B50

16歳の女子。胸部刺創のため同級生らに抱きかかえられて来院した。 現病歴: 突然見ず知らずの男性に左前胸部をサバイバルナイフにて刺された。受傷後すぐに近くにいた同級生らに助け出され、一般救急外来に運ばれてきた。同級生らの話では、病院の近くの公園で、青年男性の無差別な暴力行為が発生しており、他にも数人が負傷しているとのことである。 既往歴: 特記すべきことはない。 生活歴: 高校生。 家族歴: 両親、兄弟とも健康。 現症: 意識は清明。身長150cm推定、体重40kg推定。体温35.5 ℃。脈拍120/分、整。血圧80mmHg(触診)。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。ショック状態と判断し、直ちに医療従事者を集めた。蘇生処置室に搬入し、酸素投与を開始の上、静脈路を確保して輸液を開始した。左第5肋間鎖骨中線よりやや内側に長さ3cm程度の刺創を認めるが、体表への出血は止まっており、衣服には径数cm程度の血液が付着している。

この患者のショックの原因を鑑別するのに有用な身体所見はどれか。

第110回国家試験 B51

16歳の女子。胸部刺創のため同級生らに抱きかかえられて来院した。 現病歴: 突然見ず知らずの男性に左前胸部をサバイバルナイフにて刺された。受傷後すぐに近くにいた同級生らに助け出され、一般救急外来に運ばれてきた。同級生らの話では、病院の近くの公園で、青年男性の無差別な暴力行為が発生しており、他にも数人が負傷しているとのことである。 既往歴: 特記すべきことはない。 生活歴: 高校生。 家族歴: 両親、兄弟とも健康。 現症: 意識は清明。身長150cm推定、体重40kg推定。体温35.5 ℃。脈拍120/分、整。血圧80mmHg(触診)。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。ショック状態と判断し、直ちに医療従事者を集めた。蘇生処置室に搬入し、酸素投与を開始の上、静脈路を確保して輸液を開始した。左第5肋間鎖骨中線よりやや内側に長さ3cm程度の刺創を認めるが、体表への出血は止まっており、衣服には径数cm程度の血液が付着している。

吸気時に大腿動脈の拍動が減弱し、胸部の聴診で心音が減弱している。創部より呼吸に伴う空気の流入出が疑われ、呼吸音は左側でわずかに減弱している。触診で皮下気腫は認めない。最も優先すべきなのはどれか。

第110回国家試験 B52

16歳の女子。胸部刺創のため同級生らに抱きかかえられて来院した。 現病歴: 突然見ず知らずの男性に左前胸部をサバイバルナイフにて刺された。受傷後すぐに近くにいた同級生らに助け出され、一般救急外来に運ばれてきた。同級生らの話では、病院の近くの公園で、青年男性の無差別な暴力行為が発生しており、他にも数人が負傷しているとのことである。 既往歴: 特記すべきことはない。 生活歴: 高校生。 家族歴: 両親、兄弟とも健康。 現症: 意識は清明。身長150cm推定、体重40kg推定。体温35.5 ℃。脈拍120/分、整。血圧80mmHg(触診)。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。ショック状態と判断し、直ちに医療従事者を集めた。蘇生処置室に搬入し、酸素投与を開始の上、静脈路を確保して輸液を開始した。左第5肋間鎖骨中線よりやや内側に長さ3cm程度の刺創を認めるが、体表への出血は止まっており、衣服には径数cm程度の血液が付着している。

この患者を救命救急センターに転送することにした。搬送時間として少なくとも30 分は見込まれる。左側の呼吸音はさらに減弱し、ポータブル撮影による胸部エックス線写真でも明らかな気胸を認める。転送前に行う処置として必要性が低いのはどれか。

第110回国家試験 B53

78 歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。 現病歴 : 2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を 30 分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。 既往歴 : 75 歳時に両側の白内障手術。 家族歴 : 父親が脳梗塞。母親が胃癌。 生活歴 : 喫煙は 65 歳まで 10 本/日を 45 年間。13 年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76 歳の妻と長女夫婦と同居している。 現症 : 意識は清明。身長 168 cm、体重 62 kg。体温 36.3 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82 mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 12 点(30 点満点) 、Mini-Mental State Examination<MMSE> 14 点(30 点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski 徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。 検査所見 : 尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 42 %、白血球 6,300、血小板 23 万、PT 78 % (基準 80〜120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 4.0 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 22 IU/L、ALT 38 IU/L、LD 328 IU/L (基準 176〜353)、ALP 254 IU/L (基準 115〜359)、γ-GTP 26 IU/L (基準 8〜50) 、アミラーゼ 95 IU/L (基準 37〜160)、CK 96 IU/L (基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 6.3 mg/dL、血糖 102 mg/dL、HbA1c 5.8 % (基準 4.6〜6.2) 、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 98 mEq/L、TSH 3.8 μU/mL (基準 0.2〜4.0)、FT3 2.6 pg/mL (基準 2.5〜4.5)、FT41.0 ng/dL (基準 0.8〜2.2) 。CRP 0.4 mg/dL。脳血流 SPECTとドパミントランスポーター SPECTとを別に示す。

この患者にみられるのはどれか。2つ選べ。

第110回国家試験 B54

78 歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。 現病歴 : 2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を 30 分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。 既往歴 : 75 歳時に両側の白内障手術。 家族歴 : 父親が脳梗塞。母親が胃癌。 生活歴 : 喫煙は 65 歳まで 10 本/日を 45 年間。13 年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76 歳の妻と長女夫婦と同居している。 現症 : 意識は清明。身長 168 cm、体重 62 kg。体温 36.3 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82 mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 12 点(30 点満点) 、Mini-Mental State Examination<MMSE> 14 点(30 点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski 徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。 検査所見 : 尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 42 %、白血球 6,300、血小板 23 万、PT 78 % (基準 80〜120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 4.0 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 22 IU/L、ALT 38 IU/L、LD 328 IU/L (基準 176〜353)、ALP 254 IU/L (基準 115〜359)、γ-GTP 26 IU/L (基準 8〜50) 、アミラーゼ 95 IU/L (基準 37〜160)、CK 96 IU/L (基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 6.3 mg/dL、血糖 102 mg/dL、HbA1c 5.8 % (基準 4.6〜6.2) 、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 98 mEq/L、TSH 3.8 μU/mL (基準 0.2〜4.0)、FT3 2.6 pg/mL (基準 2.5〜4.5)、FT41.0 ng/dL (基準 0.8〜2.2) 。CRP 0.4 mg/dL。脳血流 SPECTとドパミントランスポーター SPECTとを別に示す。

最も考えられるのはどれか。

第110回国家試験 B55

78 歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。 現病歴 : 2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を 30 分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。 既往歴 : 75 歳時に両側の白内障手術。 家族歴 : 父親が脳梗塞。母親が胃癌。 生活歴 : 喫煙は 65 歳まで 10 本/日を 45 年間。13 年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76 歳の妻と長女夫婦と同居している。 現症 : 意識は清明。身長 168 cm、体重 62 kg。体温 36.3 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82 mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 12 点(30 点満点) 、Mini-Mental State Examination<MMSE> 14 点(30 点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski 徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。 検査所見 : 尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 42 %、白血球 6,300、血小板 23 万、PT 78 % (基準 80〜120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 4.0 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 22 IU/L、ALT 38 IU/L、LD 328 IU/L (基準 176〜353)、ALP 254 IU/L (基準 115〜359)、γ-GTP 26 IU/L (基準 8〜50) 、アミラーゼ 95 IU/L (基準 37〜160)、CK 96 IU/L (基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 6.3 mg/dL、血糖 102 mg/dL、HbA1c 5.8 % (基準 4.6〜6.2) 、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 98 mEq/L、TSH 3.8 μU/mL (基準 0.2〜4.0)、FT3 2.6 pg/mL (基準 2.5〜4.5)、FT41.0 ng/dL (基準 0.8〜2.2) 。CRP 0.4 mg/dL。脳血流 SPECTとドパミントランスポーター SPECTとを別に示す。

この患者に適切な薬剤はどれか。

第110回国家試験 B56

32 歳の男性。発熱と咳嗽とを主訴に来院した。現病歴 : 2日前から 38 ℃台の発熱と咳嗽が出現した。市販の解熱鎮痛薬を服用したが、37.0 ℃以下に解熱せず、今朝からは呼吸困難も感じるようになったため受診した。腹痛と下痢はない。既往歴 : 27 歳時に右胸部の帯状疱疹。29 歳時に右側肺炎。30 歳時に左側肺炎。生活歴 : 食品加工の工場で働いている。妻と4歳の子供がいる。喫煙は 20 本/日を 10 年間。飲酒は機会飲酒。現症 : 意識は清明。身長 165 cm、体重 58 kg。体温 38.3 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 86/42 mmHg。呼吸数 28/分。SpO2 95 %(room air) 。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右側の胸部で coarse crackles を聴取する。腹部は平坦で、腸蠕動音に異常を認めず、肝・脾を触知しない。検査所見 : 血液所見:赤血球 398 万、Hb 11.3 g/dL、Ht 37 %、白血球 3,400(桿状核好中球 22 %、分葉核好中球 58 %、好酸球3%、好塩基球2%、単球8%、リンパ球7%)、血小板 15 万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.8g/dL、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 5.8 mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.9 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 8.8 mg/dL。胸部エックス線写真を別に示す。

この患者の所見で SIRS の基準を満たすのはどれか。3つ選べ。

第110回国家試験 B57

32 歳の男性。発熱と咳嗽とを主訴に来院した。現病歴 : 2日前から 38 ℃台の発熱と咳嗽が出現した。市販の解熱鎮痛薬を服用したが、37.0 ℃以下に解熱せず、今朝からは呼吸困難も感じるようになったため受診した。腹痛と下痢はない。既往歴 : 27 歳時に右胸部の帯状疱疹。29 歳時に右側肺炎。30 歳時に左側肺炎。生活歴 : 食品加工の工場で働いている。妻と4歳の子供がいる。喫煙は 20 本/日を 10 年間。飲酒は機会飲酒。現症 : 意識は清明。身長 165 cm、体重 58 kg。体温 38.3 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 86/42 mmHg。呼吸数 28/分。SpO2 95 %(room air) 。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右側の胸部で coarse crackles を聴取する。腹部は平坦で、腸蠕動音に異常を認めず、肝・脾を触知しない。検査所見 : 血液所見:赤血球 398 万、Hb 11.3 g/dL、Ht 37 %、白血球 3,400(桿状核好中球 22 %、分葉核好中球 58 %、好酸球3%、好塩基球2%、単球8%、リンパ球7%)、血小板 15 万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.8g/dL、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 5.8 mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.9 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 8.8 mg/dL。胸部エックス線写真を別に示す。

その後の経過 : 胸部エックス線写真と喀痰の Gram 染色標本の検鏡結果から肺炎球菌による細菌性肺炎と診断し入院となった。入院初日からセフトリアキソンの投与を開始したところ、入院3日目までに咳嗽は減少し食欲も出てきた。入院3日目の体温は 36.8 ℃、脈拍 80/分、整。血圧 116/58 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。血液所見:白血球 6,300(桿状核好中球 14 %、分葉核好中球 61 %、好酸球3%、好塩基球2%、単球7%、リンパ球 13 %)、血小板 22 万。CRP 4.4mg/dL。胸部エックス線写真で所見の改善を認めた。初診時に採取した喀痰および血液の培養からは肺炎球菌が検出された。その後も症状は改善傾向が続き、入院4日目に採取した喀痰の細菌培養検査では肺炎球菌が陰性化していたが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌<MRSA>が検出された。この患者に対する適切な治療はどれか。

第110回国家試験 B58

32 歳の男性。発熱と咳嗽とを主訴に来院した。現病歴 : 2日前から 38 ℃台の発熱と咳嗽が出現した。市販の解熱鎮痛薬を服用したが、37.0 ℃以下に解熱せず、今朝からは呼吸困難も感じるようになったため受診した。腹痛と下痢はない。既往歴 : 27 歳時に右胸部の帯状疱疹。29 歳時に右側肺炎。30 歳時に左側肺炎。生活歴 : 食品加工の工場で働いている。妻と4歳の子供がいる。喫煙は 20 本/日を 10 年間。飲酒は機会飲酒。現症 : 意識は清明。身長 165 cm、体重 58 kg。体温 38.3 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 86/42 mmHg。呼吸数 28/分。SpO2 95 %(room air) 。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音に異常を認めない。右側の胸部で coarse crackles を聴取する。腹部は平坦で、腸蠕動音に異常を認めず、肝・脾を触知しない。検査所見 : 血液所見:赤血球 398 万、Hb 11.3 g/dL、Ht 37 %、白血球 3,400(桿状核好中球 22 %、分葉核好中球 58 %、好酸球3%、好塩基球2%、単球8%、リンパ球7%)、血小板 15 万。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.8g/dL、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 5.8 mg/dL、Na 137mEq/L、K 3.9 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 8.8 mg/dL。胸部エックス線写真を別に示す。

今回の肺炎は治癒したが肺炎を繰り返しているため、外来で経過観察した際に本人の同意を得て抗 HIV 抗体スクリーニング検査を行ったところ陽性であった。次に行うべき検査として適切なのはどれか。2つ選べ。

第110回国家試験 B59

46 歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。現病歴 : 部屋で倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。既往歴 : 20 歳ころ、うつ病の治療歴あり。生活歴 : 無職。喫煙歴および飲酒歴は長いようだが詳細は不明。家族歴 : 独身。母親は健康で農業を営んでいる。父親は高校生の時に死亡したが詳細は不明。現症 : 体温 36.8 ℃。脈拍 108/分、整。血圧 140/90 mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 88 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。閉眼しており痛み刺激で開眼しない。発語はない。痛み刺激を何回か繰り返すとわずかに四肢を動かす。瞳孔は両側とも径1mm に縮瞳し、対光反射は確認できない。呼気に有機溶媒臭があり、鼻汁、流涎および発汗がみられる。両側の胸部全体に wheezes を聴取する。心雑音を聴取しない。筋線維束攣縮を認める。腱反射の異常を認めない。

この患者において除染後直ちに行うべき処置はどれか。

第110回国家試験 B60

46 歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。現病歴 : 部屋で倒れているのを母親が発見し、救急車を要請した。既往歴 : 20 歳ころ、うつ病の治療歴あり。生活歴 : 無職。喫煙歴および飲酒歴は長いようだが詳細は不明。家族歴 : 独身。母親は健康で農業を営んでいる。父親は高校生の時に死亡したが詳細は不明。現症 : 体温 36.8 ℃。脈拍 108/分、整。血圧 140/90 mmHg。呼吸数 8/分。SpO2 88 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。閉眼しており痛み刺激で開眼しない。発語はない。痛み刺激を何回か繰り返すとわずかに四肢を動かす。瞳孔は両側とも径1mm に縮瞳し、対光反射は確認できない。呼気に有機溶媒臭があり、鼻汁、流涎および発汗がみられる。両側の胸部全体に wheezes を聴取する。心雑音を聴取しない。筋線維束攣縮を認める。腱反射の異常を認めない。

この患者の鑑別診断において有用な血液生化学検査の項目はどれか。