平成27年度(第110回)医師国家試験問題|午後21問〜午後40問

第110回国家試験 C19

55歳の女性。飛び降りによる腹部外傷のため救急車で搬入された。1か月前に胃癌と診断され、ここ数日は絶望して気持ちが不安定になっていた。今朝、自宅マンションの8階から飛び降りて受傷した。大量の腹腔内出血があり救命のためには速やかな開腹止血術が必要である。ショック状態で患者の意識はなく、意思の表示はできない。患者本人は以前から癌に対する手術治療を拒否していたが、救急車で付き添って来た夫は開腹止血術や救命治療を希望している。リスボン宣言に基づく対応はどれか。

第110回国家試験 C20

61歳の男性。自営業。旅客機内で耐え難い全身倦怠感を訴えた。2週間の仕事を終えて東アジアのある国から帰国するところである。たまたま同乗していた医師が機内アナウンスに呼応した。男性が現地の医療機関を昨日受診した際に渡された紹介状の一部を示す。The patient is a 61-year-old man with a complaint of general malaise. Distended abdomen has been developed in these two days. He has a long history of drinking. However, he has never been treatedon alcoholic problems. On physical examination, his consciousness was clear. He had no fever. Icterus on his conjunctiva, several vascular spiders in his anterior chest and bilateral pretibial edema were observed. Moderate amount of ascites was detected by ultrasonography. Therefore, I strongly recommended him to consult aphysician in his home country as soon as possible. 機内での現症:体温36.5 ℃。脈拍88/分、整。呼吸数12/分。腹部に圧痛を認めない。この情報から最も疑うべき疾患はどれか。

第110回国家試験 C21

62歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。1か月前に労作時呼吸困難が出現し増強してきたため受診した。喫煙は30本/日を40年間。体温36.4℃。脈拍104/分、整。血圧132/86mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。呼吸時に胸郭の動きに左右差を認める。心音に異常を認めず、呼吸音は左肺で減弱している。左胸部の打診は濁音を呈している。考えられるのはどれか。

第110回国家試験 C22

11歳の男児。転倒して頭部を受傷したために母親に連れられて来院した。30分前にプールサイドで転倒し右の側頭部から頭頂部を段差の角に打ち付けたとのことである。来院時、意識は清明。体温36.2℃。脈拍92/分、整。血圧118/80mmHg。呼吸数20/分。右の側頭部の頭皮に出血を伴う挫傷がある。神経学的所見に異常を認めない。来院時の頭部エックス線写真と頭部単純CTとを別に示す。その後、外来で頭皮挫傷の消毒処置を行っていたところ、意識障害が急速に進行し、JCSⅢ-100、左瞳孔の散大と対光反射消失とをきたしたため、気道、呼吸および循環の補助を開始した。この時点で直ちに行うべき検査はどれか。

第110回国家試験 C23

36歳の男性。事務職。不眠を主訴に来院した。半年ほど前から寝つけない、熟睡感がないと感じている。1か月前から昼間に眠くなって集中力が続かなくなっていた。生活習慣として、就寝前、3~4時間以内にコーヒーを飲み、睡眠薬代わりに寝酒を飲み、眠くなるまでテレビを見て深夜を過ごしている。平日は起床後にしっかりと朝食をとっているが、休日は睡眠不足を補おうと3~4時間朝寝坊している。生活指導において継続を勧めるべき習慣はどれか。

第110回国家試験 C24

52歳の女性。頭皮と両耳介の皮疹とを主訴に来院した。数日前に染毛剤を使用した。同時期にシャンプーも変更したという。頭皮と両耳介とに痒みを伴う皮疹を認める。耳介部の写真を別に示す。この皮疹の原因検索に有用な検査はどれか。

第110回国家試験 C25

76歳の女性。腋窩のしこりを主訴に来院した。初診時、右腋窩に痛みを伴わない直径2cmのリンパ節1個を触知した。経過観察の方針となり1か月後に再診したところリンパ節腫大の増悪を認めたため、担当医はリンパ節生検を行うことが望ましいと判断した。担当医は患者に対して、鑑別すべき疾患、生検の必要性、生検の方法および生検で予想される利益や不利益などについて丁寧に説明した。説明を聞いて患者は「よくわかりました」と答え、生検の同意書に署名した。説明から10日後に生検が予定された。生検の前日に患者が予定外で外来を受診したため、担当医が対応した。患者は担当医に対して、「申し訳ないのですが、やはり検査は受けたくありません」と申し出た。担当医は「明日の検査を受けたくないのですね」と確認した。次に担当医が患者にかける言葉として適切なのはどれか。

第110回国家試験 C26

78歳の女性。食欲不振と軽度の全身倦怠感とを主訴に紹介されて来院した。 現病歴: 4週前に自宅で転倒して尻もちをつき腰痛が出現したため自宅近くの診療所を受診した。腰椎エックス線写真で第1腰椎の圧迫骨折を認め、腰椎骨塩定量検査で骨密度が著明に低下しており、骨粗鬆症と診断された。非ステロイド性抗炎症薬、ビスホスホネート製剤、カルシウム製剤および活性型ビタミンD製剤による治療が開始された。2週後の再診時には腰痛は軽減し、非ステロイド性抗炎症薬は終了となったが、他の薬剤はその後も投与が継続されていた。1週前から食欲不振と軽度の全身怠感とを自覚し持続するため紹介されて受診した。尿検査と血液検査の結果を持参している。 既往歴: 70歳時に胆石で胆嚢摘出術。75歳時に大腸憩室炎。 生活歴: 娘夫婦と孫2人との5人暮らし。腰痛が軽減した後は日課にしていた朝30分の散歩を再開している。 検査所見(持参したもの) : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 468万、Hb 14.6 g/dL、Ht 42%、白血球 4,600、血小板 36万。血液生化学所見:総蛋白 7.6 g/dL、アルブミン 4.6 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、直接ビリルビン 0.4 mg/dL、AST 24 U/L、ALT 10 IU/L、LD 226 IU/L(基準 176~353)、尿素窒素 32 mg/dL、クレアチニン 1.1 mg/dL、尿酸 8.6 mg/dL、血糖 120 mg/dL、Na 146 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl 104 mEq/L。CRP 0.3 mg/dL未満。 現症: 意識レベルはJCSⅠ-2。身長 150 cm、体重 45 kg。体温 36.0 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 132/92 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢の筋力に異常を認めない。

この患者にみられる可能性が高いのはどれか。

第110回国家試験 C27

78歳の女性。食欲不振と軽度の全身倦怠感とを主訴に紹介されて来院した。 現病歴: 4週前に自宅で転倒して尻もちをつき腰痛が出現したため自宅近くの診療所を受診した。腰椎エックス線写真で第1腰椎の圧迫骨折を認め、腰椎骨塩定量検査で骨密度が著明に低下しており、骨粗鬆症と診断された。非ステロイド性抗炎症薬、ビスホスホネート製剤、カルシウム製剤および活性型ビタミンD製剤による治療が開始された。2週後の再診時には腰痛は軽減し、非ステロイド性抗炎症薬は終了となったが、他の薬剤はその後も投与が継続されていた。1週前から食欲不振と軽度の全身怠感とを自覚し持続するため紹介されて受診した。尿検査と血液検査の結果を持参している。 既往歴: 70歳時に胆石で胆嚢摘出術。75歳時に大腸憩室炎。 生活歴: 娘夫婦と孫2人との5人暮らし。腰痛が軽減した後は日課にしていた朝30分の散歩を再開している。 検査所見(持参したもの) : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 468万、Hb 14.6 g/dL、Ht 42%、白血球 4,600、血小板 36万。血液生化学所見:総蛋白 7.6 g/dL、アルブミン 4.6 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、直接ビリルビン 0.4 mg/dL、AST 24 U/L、ALT 10 IU/L、LD 226 IU/L(基準 176~353)、尿素窒素 32 mg/dL、クレアチニン 1.1 mg/dL、尿酸 8.6 mg/dL、血糖 120 mg/dL、Na 146 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl 104 mEq/L。CRP 0.3 mg/dL未満。 現症: 意識レベルはJCSⅠ-2。身長 150 cm、体重 45 kg。体温 36.0 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 132/92 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢の筋力に異常を認めない。

診断に有用な検査はどれか。

第110回国家試験 C28

67歳の女性。息苦しさを主訴に来院した。 現病歴: 5年前から労作時に呼吸困難を自覚していた。風邪をひくと回復が遅く、自宅近くの診療所で去痰薬の処方を受けていた。2か月前から安静時にも呼吸困難を自覚するようになり、数日前から症状が悪化したため受診した。 既往歴: 60歳から高血圧症にて内服治療中である。 生活歴: 喫煙は20本/日を45年間。飲酒は機会飲酒。朝の散歩を日課としていたが2か月前から息苦しいためやめている。 家族歴: 父親が肺癌で死亡。 現症: 意識は清明。身長162cm、体重42kg。体温36.4℃。脈拍64/分、整。 血圧130/72mmHg。呼吸数20/分。SpO2 90%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。胸部の聴診で、心音はI音とII音の減弱を認める。呼吸音は減弱している。検査所見: 血液所見:赤血球434万、Hb 13.5/dL、Ht 40%、白血球7,400、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン0.5 mg/dL、AST 25IU/L、ALT 30IU/L、LD 195IU/L(基準176~353)、ALP 189IU/L(基準115~359)、クレアチニン0.9mg/dL。CRP 0.2mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 55Torr、PaO2 62Torr、HCO3- 34mEq/L。呼吸機能検査:%VC 80%、FEV1% 38%。胸部エックス線写真では両側で肺野の透過性亢進と横隔膜の平低化とを認める。

この患者にみられる可能性が高いのはどれか。

第110回国家試験 C29

67歳の女性。息苦しさを主訴に来院した。 現病歴: 5年前から労作時に呼吸困難を自覚していた。風邪をひくと回復が遅く、自宅近くの診療所で去痰薬の処方を受けていた。2か月前から安静時にも呼吸困難を自覚するようになり、数日前から症状が悪化したため受診した。 既往歴: 60歳から高血圧症にて内服治療中である。 生活歴: 喫煙は20本/日を45年間。飲酒は機会飲酒。朝の散歩を日課としていたが2か月前から息苦しいためやめている。 家族歴: 父親が肺癌で死亡。 現症: 意識は清明。身長162cm、体重42kg。体温36.4℃。脈拍64/分、整。 血圧130/72mmHg。呼吸数20/分。SpO2 90%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。胸部の聴診で、心音はI音とII音の減弱を認める。呼吸音は減弱している。検査所見: 血液所見:赤血球434万、Hb 13.5/dL、Ht 40%、白血球7,400、血小板23万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン0.5 mg/dL、AST 25IU/L、ALT 30IU/L、LD 195IU/L(基準176~353)、ALP 189IU/L(基準115~359)、クレアチニン0.9mg/dL。CRP 0.2mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 55Torr、PaO2 62Torr、HCO3- 34mEq/L。呼吸機能検査:%VC 80%、FEV1% 38%。胸部エックス線写真では両側で肺野の透過性亢進と横隔膜の平低化とを認める。

この患者の病状悪化とともに増加または上昇するのはどれか。

第110回国家試験 C30

23 歳の女性。発熱を主訴に紹介されて来院した。 現病歴 : 3日前の朝、38.2 ℃の発熱を認めた。市販の解熱鎮痛薬を内服すると、一時的に体温は 37 ℃台前半まで解熱したが、数時間して再び 38.5〜40 ℃に上昇した。今朝からは、悪寒、戦慄を伴う 40 ℃台の発熱が続いたため自宅近くの診療所を受診した。腰部が重苦しいが、頭痛、咽頭痛、鼻汁、咳嗽、胸痛、腹痛および下痢の症状はない。インフルエンザウイルス迅速抗原検査と胸部エックス線撮影で異常を認めなかった。発熱の原因精査のため同時に施行した尿検査と血液検査の結果を持参し、紹介されて受診した。 既往歴 : 小児期にアトピー性皮膚炎。8歳時に中耳炎。 生活歴 : 営業担当事務職員。両親と弟の4人暮らし。 家族歴 : 10 日前に弟が胃腸炎で3日間療養した。 検査所見(持参したもの) : 尿所見:蛋白(+)、糖(-)、潜血1+、白血球2+。赤沈 65 mm/時間。血液所見:赤血球 430万、Hb 13.5 g/dL、Ht 40%、白血球 12,000(桿状核好中球 15%、分葉核好中球 60%、好酸球 1%、単球 6%、リンパ球 18 %)、血小板 38万。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、AST 28 IU/L、ALT 35 IU/L、LD 210 IU/L (基準 176〜353)、ク レアチニン0.7mg/dL、尿素窒素 14 mg/dL、Na 138 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 105 mEq/L。CRP6.5 mg/dL。 現症 : 意識は清明。身長 165 cm、体重 46 kg。体温 39.1 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 106/60 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。

この患者でみられる可能性が高い身体所見はどれか。

第110回国家試験 C31

23 歳の女性。発熱を主訴に紹介されて来院した。 現病歴 : 3日前の朝、38.2 ℃の発熱を認めた。市販の解熱鎮痛薬を内服すると、一時的に体温は 37 ℃台前半まで解熱したが、数時間して再び 38.5〜40 ℃に上昇した。今朝からは、悪寒、戦慄を伴う 40 ℃台の発熱が続いたため自宅近くの診療所を受診した。腰部が重苦しいが、頭痛、咽頭痛、鼻汁、咳嗽、胸痛、腹痛および下痢の症状はない。インフルエンザウイルス迅速抗原検査と胸部エックス線撮影で異常を認めなかった。発熱の原因精査のため同時に施行した尿検査と血液検査の結果を持参し、紹介されて受診した。 既往歴 : 小児期にアトピー性皮膚炎。8歳時に中耳炎。 生活歴 : 営業担当事務職員。両親と弟の4人暮らし。 家族歴 : 10 日前に弟が胃腸炎で3日間療養した。 検査所見(持参したもの) : 尿所見:蛋白(+)、糖(-)、潜血1+、白血球2+。赤沈 65 mm/時間。血液所見:赤血球 430万、Hb 13.5 g/dL、Ht 40%、白血球 12,000(桿状核好中球 15%、分葉核好中球 60%、好酸球 1%、単球 6%、リンパ球 18 %)、血小板 38万。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、AST 28 IU/L、ALT 35 IU/L、LD 210 IU/L (基準 176〜353)、ク レアチニン0.7mg/dL、尿素窒素 14 mg/dL、Na 138 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 105 mEq/L。CRP6.5 mg/dL。 現症 : 意識は清明。身長 165 cm、体重 46 kg。体温 39.1 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 106/60 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。

次に実施すべき検査はどれか。

第110回国家試験 D1

乳幼児期における心室中隔欠損症の手術適応となる基準はどれか。

第110回国家試験 D2

外科的切除が標準治療となるのはどれか。

第110回国家試験 D3

成人の病態と関連性が強いウイルスとの組合せで正しいのはどれか。

第110回国家試験 D4

アトピー性皮膚炎の眼合併症はどれか。

第110回国家試験 D5

関節痛を伴う皮膚疾患はどれか。

第110回国家試験 D6

誤嚥を疑う嚥下内視鏡検査の所見はどれか。

第110回国家試験 D7

妊婦の急性虫垂炎について正しいのはどれか。