平成28年度(第111回)医師国家試験問題|午後-19問〜午後0問

第111回国家試験 B41

46 歳の女性。多尿を主訴に来院した。半年くらい前からトイレが近いことを徐々に自覚するようになった。最近になり就寝後にも2回程度トイレに行くようになったため受診した。排尿後は夜間であっても大量の水を飲んでしまうという。他に腹痛などの自覚症状はない。2年前から肝疾患で内服治療中である。 身長 156 cm、体重 54 kg。脈拍 68/分、整。血圧 144/92 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に異常を認めない。 尿所見:比重 1.004、蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)。血液所見:赤血球 421 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 40 %。血液生化学所見:アルブミン 4.2 g/dL、AST 38 U/L、ALT 42 U/L、血糖 124 mg/dL、HbA1c 6.2 % (基準 4.6〜6.2) 、Na 143 mEq/L、K 2.7 mEq/L、Cl 102 mEq/L、Ca 10.0 mg/dL、P 3.2 mg/dL。 多尿の原因として最も考えられるのはどれか。

第111回国家試験 B42

77 歳の女性。持続性の上腹部痛を主訴に来院した。3か月前から食欲不振を認め、精査の結果、胃癌とその肝転移であると診断された。抗癌化学療法などの積極的な治療を希望せず、経過観察することとなった。3週間前から上腹部痛が出現し、次第に増強した。外来で非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>が投与され一時的に疼痛は軽減したが、2日前から再び増悪したため受診した。疼痛コントロール目的でオピオイドの投与を開始することとなった。 対応として適切なのはどれか。

第111回国家試験 B43

49歳の女性。頭重感と眼痛とを主訴に来院した。仕事で長時間パソコンを使用すると、症状が増悪する。 視力は右 1.0(1.2× -0.5 D) 、左 0.8(1.2× 1.0 D)。眼圧は右 15 mmHg、左 16 mmHg。瞳孔は正円同大で、対光反応は正常。Schirmer 試験は右5mm、左4mm(基準 10〜15) 。フルオレセイン染色後の細隙灯顕微鏡写真を別に示す。 治療として適切な点眼薬はどれか。

第111回国家試験 B44

20年前、機械工場から化学物質が大気中に流出した。直後から地域で気管支喘息様の症状を訴える者がみられたが、一時的な流出で数か月後には症状を訴える者はいなくなった。当時の調査では、個人の曝露量と急性の気管支喘息様症状の有病率とに相関が認められた。最近になって、この物質に曝露すると5年後から肝臓悪性腫瘍による死亡率が増加することが海外で報告された。このため、所管する地方自治体が周辺住民への健康影響を再評価することとなった。当時の個人の曝露量のデータは自治体に保管されている。 健康影響の評価のために最初に着手するのはどれか。

第111回国家試験 B45

4か月の乳児。健康診査のため母親に連れられて来院した。母親と健診医との会話を以下に示す。 健診医 「お子さんはミルクをよく飲みますか」母親 ①「母乳ですが、足りないようなので粉ミルクを足しています」健診医 「あやしたときに笑いますか」母親 ②「はい、よく笑います」健診医 「お母さんの声の方を振り向きますか」母親 ③「はい、振り向きます」健診医 「首はすわっていますか」母親 ④「まだすわっていないようです」健診医 「寝返りをしますか」母親 ⑤「まだしません」 異常である可能性が高いのはどれか。

第111回国家試験 B46

70歳の男性。下腿の皮疹を主訴に来院した。約3週間前に両下腿に皮疹が出現し、一過性に両膝関節痛と腹部の疝痛があった。数日前から皮疹が増悪したため受診した。 身長 168 cm、体重 57 kg。体温 36.8 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 150/82 mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両下腿に皮疹を認める。両側の足背に軽度の浮腫を認める。 尿所見:蛋白1+、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1 視野、尿蛋白 1.8 g/日。血液所見:赤血球 420 万、Hb 12.2 g/dL、Ht 36 %、白血球 9,400(分葉核好中球 64 %、好酸球3%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球 25 % )、血小板 19 万。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、尿素窒素 32 mg/dL、クレアチニン 1.5 mg/dL。免疫血清学所見:抗核抗体陰性、MPO-ANCA陰性。尿中 Bence-Jones 蛋白陰性。診断のため腎生検を行った。下腿の皮膚所見、腎生検のPAM染色標本及び蛍光抗体 IgA 染色標本を別に示す。 この患者で正しいのはどれか。

第111回国家試験 B47

45 歳の男性。会社員。課長に昇進後、半年が経過した頃から寝つきが悪くなり、仕事でケアレスミスをするようになった。その後、めまい、倦怠感および食欲不振が出現し、会社の産業医に勧められ受診した。妻と子供の3人暮らし。抑うつ状態で軽度の希死念慮を認め、うつ病と診断されたため入院となった。抗うつ薬などによる治療を4週間行ったところ、症状は消失し退院可能となった。 主治医の今後の対応として最も適切なのはどれか。

第111回国家試験 B48

47歳の男性。頸椎脱臼骨折で入院中である。6週間前に高所で作業中に転落し、第5頸椎脱臼骨折に対して観血的後方固定術が行われた。今回、離床を目指したリハビリテーションを開始することとした。徒手筋力テストでは両側とも上腕二頭筋4、橈側手根伸筋3、上腕三頭筋0、深指屈筋0である。体幹筋と下肢筋の随意運動は不可能。両上肢尺側、体幹および両下肢の感覚は脱失している。 適切な対応はどれか。2つ選べ。

第111回国家試験 B49

55 歳の男性。両側の手掌と足底に半年前から認める皮疹を主訴に来院した。鱗屑の苛性カリ<KOH>直接鏡検法で真菌を認めない。初診時の右足底の写真を別に示す。 診断に有用なのはどれか。2つ選べ。

第111回国家試験 B50

78歳の男性。倦怠感と口渇を訴え、通院中の病院を受診した。 現病歴:68 歳時に人間ドックで高血糖を指摘されて治療を開始した。3か月ごとに定期受診しており毎朝1錠の内服薬で、これまで HbA1c は6%台であった。1か月前から倦怠感とのどの渇きが出現した。 既往歴:特記すべきことはない。 生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:父親は肺癌で死亡。母親は胃癌で死亡。糖尿病の家族歴はない。 現症:意識は清明。身長 162 cm、体重 53 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 134/82 mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は軽度乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。振動覚と腱反射は正常である。 検査所見:尿所見:蛋白(±) 、糖3+、ケトン体1+、潜血(-) 、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球 444 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 43 %、白血球 6,000(好中球 54 %、好酸球 2%、好塩基球0%、単球 8%、リンパ球 36%)、血小板 19 万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、直接ビリルビン 0.3 mg/dL、AST 22 U/L、ALT 19 U/L、LD 186 U/L(基準 176〜353) 、ALP 186 U/L(基準 115〜359) 、γ-GTP 17 U/L(基準8〜50) 、アミラーゼ 352 U/L (基準 37〜160)、CK 132 U/L (基準 30〜140) 、尿素窒素 20mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 4.0 mg/dL、血糖 235 mg/dL、HbA1c8.9 % (基準 4.6〜6.2) 、総 コレステロール 147 mg/dL、トリグリセリド 64mg/dL、HDLコレステロール 51 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.1 mg/dL、P 3.0 mg/dL、TSH 3.0 μU/mL (基準 0.2〜4.0) 、FT41.2 ng/dL(基準 0.8〜2.2) 。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。

確認すべきなのはどれか。3つ選べ。

第111回国家試験 B51

78歳の男性。倦怠感と口渇を訴え、通院中の病院を受診した。 現病歴:68 歳時に人間ドックで高血糖を指摘されて治療を開始した。3か月ごとに定期受診しており毎朝1錠の内服薬で、これまで HbA1c は6%台であった。1か月前から倦怠感とのどの渇きが出現した。 既往歴:特記すべきことはない。 生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:父親は肺癌で死亡。母親は胃癌で死亡。糖尿病の家族歴はない。 現症:意識は清明。身長 162 cm、体重 53 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 134/82 mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は軽度乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。振動覚と腱反射は正常である。 検査所見:尿所見:蛋白(±) 、糖3+、ケトン体1+、潜血(-) 、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球 444 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 43 %、白血球 6,000(好中球 54 %、好酸球 2%、好塩基球0%、単球 8%、リンパ球 36%)、血小板 19 万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、直接ビリルビン 0.3 mg/dL、AST 22 U/L、ALT 19 U/L、LD 186 U/L(基準 176〜353) 、ALP 186 U/L(基準 115〜359) 、γ-GTP 17 U/L(基準8〜50) 、アミラーゼ 352 U/L (基準 37〜160)、CK 132 U/L (基準 30〜140) 、尿素窒素 20mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 4.0 mg/dL、血糖 235 mg/dL、HbA1c8.9 % (基準 4.6〜6.2) 、総 コレステロール 147 mg/dL、トリグリセリド 64mg/dL、HDLコレステロール 51 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.1 mg/dL、P 3.0 mg/dL、TSH 3.0 μU/mL (基準 0.2〜4.0) 、FT41.2 ng/dL(基準 0.8〜2.2) 。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。

Mini-Mental State Examination<MMSE>を行うこととした。注意点はどれか。3つ選べ。。

第111回国家試験 B52

78歳の男性。倦怠感と口渇を訴え、通院中の病院を受診した。 現病歴:68 歳時に人間ドックで高血糖を指摘されて治療を開始した。3か月ごとに定期受診しており毎朝1錠の内服薬で、これまで HbA1c は6%台であった。1か月前から倦怠感とのどの渇きが出現した。 既往歴:特記すべきことはない。 生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:父親は肺癌で死亡。母親は胃癌で死亡。糖尿病の家族歴はない。 現症:意識は清明。身長 162 cm、体重 53 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 134/82 mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は軽度乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。振動覚と腱反射は正常である。 検査所見:尿所見:蛋白(±) 、糖3+、ケトン体1+、潜血(-) 、沈渣に異常を認めない。血液所見:赤血球 444 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 43 %、白血球 6,000(好中球 54 %、好酸球 2%、好塩基球0%、単球 8%、リンパ球 36%)、血小板 19 万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、直接ビリルビン 0.3 mg/dL、AST 22 U/L、ALT 19 U/L、LD 186 U/L(基準 176〜353) 、ALP 186 U/L(基準 115〜359) 、γ-GTP 17 U/L(基準8〜50) 、アミラーゼ 352 U/L (基準 37〜160)、CK 132 U/L (基準 30〜140) 、尿素窒素 20mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 4.0 mg/dL、血糖 235 mg/dL、HbA1c8.9 % (基準 4.6〜6.2) 、総 コレステロール 147 mg/dL、トリグリセリド 64mg/dL、HDLコレステロール 51 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 105mEq/L、Ca 9.1 mg/dL、P 3.0 mg/dL、TSH 3.0 μU/mL (基準 0.2〜4.0) 、FT41.2 ng/dL(基準 0.8〜2.2) 。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。

精査の結果、腹部CTで膵尾部に径2cm の腫瘤影を認め、膵癌と診断された。本人や家族と相談の結果、膵尾部切除術を行うこととなった。術前の血糖コントロールの方法として適切なのはどれか。

第111回国家試験 B53

58歳の男性。筋力低下と嚥下困難とを主訴に来院した。 現病歴:1か月前から階段を昇るときに手すりが必要になった。1週間前から固形物を飲み込むのが難しくなり、昨日、洋式トイレで妻の助けがないと立ち上がることができなかったため受診した。 既往歴:10 年前から高血圧症で内服治療中。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:意識は清明。身長 176 cm、体重 65 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 138/76 mmHg。呼吸数 12/分。SpO2 98 %(room air) 。両肘頭に軽度の紅斑を認める。胸腹部に異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。四肢近位筋に左右対称性の把握痛と徒手筋力テストで3~4の筋力低下とを認める。感覚障害と小脳性運動失調とを認めない。 検査所見:血液所見:赤血球 504 万、Hb 15.8 g/dL、Ht 45 %、白血球 7,700、血小板 35 万。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 96 U/L、ALT 112 U/L、CK 2,380 U/L(基準 30〜140)、Na 139 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 108 mEq/L。胸腹部 CT に異常を認めない。右大腿腿部 MRI の T1 強調像と T2 強調像とを別に示す。

この患者でみられる症状はどれか。2つ選べ。

第111回国家試験 B54

58歳の男性。筋力低下と嚥下困難とを主訴に来院した。 現病歴:1か月前から階段を昇るときに手すりが必要になった。1週間前から固形物を飲み込むのが難しくなり、昨日、洋式トイレで妻の助けがないと立ち上がることができなかったため受診した。 既往歴:10 年前から高血圧症で内服治療中。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:意識は清明。身長 176 cm、体重 65 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 138/76 mmHg。呼吸数 12/分。SpO2 98 %(room air) 。両肘頭に軽度の紅斑を認める。胸腹部に異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。四肢近位筋に左右対称性の把握痛と徒手筋力テストで3~4の筋力低下とを認める。感覚障害と小脳性運動失調とを認めない。 検査所見:血液所見:赤血球 504 万、Hb 15.8 g/dL、Ht 45 %、白血球 7,700、血小板 35 万。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 96 U/L、ALT 112 U/L、CK 2,380 U/L(基準 30〜140)、Na 139 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 108 mEq/L。胸腹部 CT に異常を認めない。右大腿腿部 MRI の T1 強調像と T2 強調像とを別に示す。

この患者の電気生理学的検査所見で正しいのはどれか。

第111回国家試験 B55

58歳の男性。筋力低下と嚥下困難とを主訴に来院した。 現病歴:1か月前から階段を昇るときに手すりが必要になった。1週間前から固形物を飲み込むのが難しくなり、昨日、洋式トイレで妻の助けがないと立ち上がることができなかったため受診した。 既往歴:10 年前から高血圧症で内服治療中。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:意識は清明。身長 176 cm、体重 65 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 138/76 mmHg。呼吸数 12/分。SpO2 98 %(room air) 。両肘頭に軽度の紅斑を認める。胸腹部に異常を認めない。表在リンパ節を触知しない。四肢近位筋に左右対称性の把握痛と徒手筋力テストで3~4の筋力低下とを認める。感覚障害と小脳性運動失調とを認めない。 検査所見:血液所見:赤血球 504 万、Hb 15.8 g/dL、Ht 45 %、白血球 7,700、血小板 35 万。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 96 U/L、ALT 112 U/L、CK 2,380 U/L(基準 30〜140)、Na 139 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 108 mEq/L。胸腹部 CT に異常を認めない。右大腿腿部 MRI の T1 強調像と T2 強調像とを別に示す。

この患者に最初に投与すべき薬剤はどれか。

第111回国家試験 B56

72 歳の女性。発熱、咽頭痛および咳嗽を主訴に来院した。 現病歴:2日前から 37 ℃台の発熱、咽頭痛および咳嗽が出現した。風邪をひいたと考え市販の感冒薬を服用したが、内服後6時間程度で再び発熱したため受診した。咳をすると両側のこめかみと腰に軽度の痛みを感じる。腹痛と下痢はない。 既往歴:45 歳時に胆石症と胆囊炎とで手術。60 歳から変形性腰椎症と骨粗鬆症とで総合病院の整形外科を定期受診している。 生活歴:40 歳まで縫製工場で工員、その後 65 歳まで同工場の給食調理。現在は家族の炊事を担当するとともに、地域のボランティア活動などに参加している。夫、娘夫婦および 11 歳と6 歳の孫の6人家族。喫煙歴はないが夫が喫煙者。飲酒は機会飲酒。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。 現症:意識は清明。身長 154 cm、体重 68 kg。体温 37.3 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 126/62 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96 %(room air) 。皮膚は軽度に汗ばんでいる。両側の眼瞼結膜と咽頭後壁とに発赤を認める。後鼻漏を認める。両側の下顎角直下のリンパ節に軽度の圧痛を認める。項部硬直を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。頭頸部、体幹および四肢に皮疹を認めない。両側下腿に軽度の圧痕を残す浮腫を認める。

この患者の鑑別診断において最も有用な質問はどれか。

第111回国家試験 B57

72 歳の女性。発熱、咽頭痛および咳嗽を主訴に来院した。 現病歴:2日前から 37 ℃台の発熱、咽頭痛および咳嗽が出現した。風邪をひいたと考え市販の感冒薬を服用したが、内服後6時間程度で再び発熱したため受診した。咳をすると両側のこめかみと腰に軽度の痛みを感じる。腹痛と下痢はない。 既往歴:45 歳時に胆石症と胆囊炎とで手術。60 歳から変形性腰椎症と骨粗鬆症とで総合病院の整形外科を定期受診している。 生活歴:40 歳まで縫製工場で工員、その後 65 歳まで同工場の給食調理。現在は家族の炊事を担当するとともに、地域のボランティア活動などに参加している。夫、娘夫婦および 11 歳と6 歳の孫の6人家族。喫煙歴はないが夫が喫煙者。飲酒は機会飲酒。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。 現症:意識は清明。身長 154 cm、体重 68 kg。体温 37.3 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 126/62 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96 %(room air) 。皮膚は軽度に汗ばんでいる。両側の眼瞼結膜と咽頭後壁とに発赤を認める。後鼻漏を認める。両側の下顎角直下のリンパ節に軽度の圧痛を認める。項部硬直を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。頭頸部、体幹および四肢に皮疹を認めない。両側下腿に軽度の圧痕を残す浮腫を認める。

この患者の病態を検討するのに、有用な所見が得られる可能性が高い身体診察はどれか。3つ選べ。

第111回国家試験 B58

72 歳の女性。発熱、咽頭痛および咳嗽を主訴に来院した。 現病歴:2日前から 37 ℃台の発熱、咽頭痛および咳嗽が出現した。風邪をひいたと考え市販の感冒薬を服用したが、内服後6時間程度で再び発熱したため受診した。咳をすると両側のこめかみと腰に軽度の痛みを感じる。腹痛と下痢はない。 既往歴:45 歳時に胆石症と胆囊炎とで手術。60 歳から変形性腰椎症と骨粗鬆症とで総合病院の整形外科を定期受診している。 生活歴:40 歳まで縫製工場で工員、その後 65 歳まで同工場の給食調理。現在は家族の炊事を担当するとともに、地域のボランティア活動などに参加している。夫、娘夫婦および 11 歳と6 歳の孫の6人家族。喫煙歴はないが夫が喫煙者。飲酒は機会飲酒。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。 現症:意識は清明。身長 154 cm、体重 68 kg。体温 37.3 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 126/62 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96 %(room air) 。皮膚は軽度に汗ばんでいる。両側の眼瞼結膜と咽頭後壁とに発赤を認める。後鼻漏を認める。両側の下顎角直下のリンパ節に軽度の圧痛を認める。項部硬直を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。頭頸部、体幹および四肢に皮疹を認めない。両側下腿に軽度の圧痕を残す浮腫を認める。

この患者への薬物治療を検討するのに有用でない情報はどれか。

第111回国家試験 B59

63 歳の男性。吐血のため救急車で搬入された。 現病歴:2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、多忙であったために医療機関を受診していなかった。最近になって、常に心窩部不快感があり食欲低下と全身倦怠感とを感じるようになった。2日前に便が黒いことに気付いたが、今朝、排便後に真っ赤な血を大量に吐いたため救急車を要請した。

この患者への対応として必要性が低いのはどれか。

第111回国家試験 B60

63 歳の男性。吐血のため救急車で搬入された。 現病歴:2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、多忙であったために医療機関を受診していなかった。最近になって、常に心窩部不快感があり食欲低下と全身倦怠感とを感じるようになった。2日前に便が黒いことに気付いたが、今朝、排便後に真っ赤な血を大量に吐いたため救急車を要請した。

既往歴:50 歳ごろに脳梗塞。抗血小板薬を処方されている。 生活歴:喫煙は 20 本/日を 43 年間。飲酒は焼酎合1/日を 38 年間。 家族歴:父親が胃癌。母親が高血圧症。 現症 : 意識は清明。身長 168 cm、体重 72 kg。体温 36.3 ℃。心拍数 96/分、整。血圧 98/68 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 96 %(room air)。眼瞼結膜は貧血様だが眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、心窩部に軽度圧痛を認める。表在リンパ節を触知しない。 検査所見:血液所見:赤血球 276 万、Hb 8.7 g/dL、Ht 28 %、白血球 6,400、血小板 28 万。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.4 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 45 U/L、ALT 56 U/L、LD 344 U/L(基準 176〜353) 、ALP322 U/L(基準 115〜359) 、γ-GTP 87 U/L(基準8〜50) 、アミラーゼ 120 U/L(基準37〜160) 、CK 78 U/L (基準 30〜140)、尿素窒素 28 mg/dL、クレアチ ニ ン 0.8mg/dL、尿酸 6.3 mg/dL、血糖 108 mg/dL、HbA1c 5.8 %(基準 4.6〜6.2) 、総コレステロール 250 mg/dL、トリグリセリド 190 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 100 mEq/L。上部消化管内視鏡像を別に示す。 治療として適切なのはどれか。