平成28年度(第111回)医師国家試験問題|午後21問〜午後40問
第111回国家試験 C19
6か月の乳児。発熱を主訴に母親に連れられて救急外来に来院した。意識は清明であるが、ぐずっている。体温 38.5 ℃。心拍数 144/分、整。血圧 90/60 mmHg。呼吸数 30/分。SpO2 98 %8(room air)。毛細血管再充満時間4秒と延長している。 この患児において重症感染症を示唆する所見はどれか。
第111回国家試験 C20
60歳の女性。早朝に自宅敷地内の倉庫で梁にロープを掛け、縊頸した状態で発見された。近くから自筆の遺書が発見され、病苦が原因の自殺であること、対外的には病死として処理して欲しいことなどが記されていた。糖尿病による慢性腎不全のため、かかりつけ医で週3回透析治療を受けていた。かかりつけ医とは別の医師が警察官とともに臨場し、検案することとなった。 検案医の行動として正しいのはどれか。
第111回国家試験 C21
43歳の女性。歩行障害を主訴に来院した。小児期から走るのが遅く、すり足で歩いていたが、日常生活に支障はなかった。40歳ごろから階段を降りるのが難しくなってきたため来院した。患者の歩行姿勢の図を別に示す。 障害されている部位はどれか。
第111回国家試験 C22
45歳の男性。3時間前に左下肢を耕うん機に挟まれたため救急車で搬入された。現場で副子固定を受けている。1年前の人間ドックでは特に異常を指摘されていない。 意識は清明。心拍数 88/分、整。血圧 100/60 mmHg。SpO2 100 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。開放創は土壌で軽度に汚染され脛骨の骨片が露出している。後脛骨動脈の脈拍を触知し、足底の感覚は保たれているが、足背は感覚が脱失し、足趾は背屈不能である 血液所見:赤血球 433 万、Hb 14.2 g/dL、白血球 4,200。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、CK 253 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 1.2 mg/dL。CRP 0.1 mg/dL。下肢の写真とエックス線写真とを別に示す。直ちに輸液を開始し、麻酔下で創部の洗浄を行った。 次に行うべき処置はどれか。 ≪下肢の写真 掲載不可≫骨が露出している外傷。
第111回国家試験 C23
84歳の男性。物忘れを主訴に家族に連れられて来院した。約半年前から物忘れを自覚していた。最近になり認知症の妻の服薬内容をたびたび間違え、十分に管理できなくなっており、心配した隣町に住む長女に連れられて妻とともに受診した。普段は妻と2人暮らしで、妻の定期受診の際は診療所まで車を運転している。 この患者の認知機能を評価するのに適切な問いかけはどれか。
第111回国家試験 C24
18歳の女子。発熱と咽頭痛とを主訴に来院した。2日前から38.5 ℃の発熱と咽頭痛が続いている。口蓋扁桃は両側とも発赤、腫大しており、白苔の付着を認める。 この患者が細菌感染症よりウイルス感染症であることを示唆するのはどれか。
第111回国家試験 C25
45歳の男性。タクシーの運転手で、高血圧症、糖尿病、脂質異常症および高尿酸血症に対して食事療法と運動療法とを行っている。午前11時30分ごろ定期受診のため来院した。担当医との会話を示す。 医師 「こんにちは。お変わりありませんか」患者 「はい、特に変わりありません。今日は朝食から時間が経っていますので、血液検査をしていただけますか」医師 「朝食は何時に摂られましたか」患者 「5時半ごろにうどんを食べました」 血液生化学検査項目のうち最も朝食の影響を受けるのはどれか。
第111回国家試験 C26
32歳の男性。激しい頭痛と意識障害のため救急車で搬入された。 現病歴:1週間前から咽頭痛と38℃台の発熱とを自覚していたが、市販薬を内服して様子をみていた。昨日から頭部全体の頭痛を訴えていたが、今朝になって呼びかけに対する反応が鈍くなったため家族が救急車を要請した。 既往歴:3年前に交通事故で下顎骨骨折。歯科治療中。 生活歴:喫煙は 20 本/日を 12 年間。飲酒はビール 1,000 mL/日を週5回程度で12 年間。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:眼を閉じているが呼びかけると開眼する。簡単な質問には返答できるが内容が混乱している。手の挙上など簡単な命令には応じる。体温 40.1 ℃。心拍数136/分、整。血圧 126/72 mmHg。SpO2 98 %(マスク5L/分 酸素投与下)。項部硬直と Kernig 徴候を認める。その他の神経学的所見に異常を認めない。
この患者の GCS のスコアはどれか。
第111回国家試験 C27
32歳の男性。激しい頭痛と意識障害のため救急車で搬入された。 現病歴:1週間前から咽頭痛と38℃台の発熱とを自覚していたが、市販薬を内服して様子をみていた。昨日から頭部全体の頭痛を訴えていたが、今朝になって呼びかけに対する反応が鈍くなったため家族が救急車を要請した。 既往歴:3年前に交通事故で下顎骨骨折。歯科治療中。 生活歴:喫煙は 20 本/日を 12 年間。飲酒はビール 1,000 mL/日を週5回程度で12 年間。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:眼を閉じているが呼びかけると開眼する。簡単な質問には返答できるが内容が混乱している。手の挙上など簡単な命令には応じる。体温 40.1 ℃。心拍数136/分、整。血圧 126/72 mmHg。SpO2 98 %(マスク5L/分 酸素投与下)。項部硬直と Kernig 徴候を認める。その他の神経学的所見に異常を認めない。
脳脊髄液検査を行うこととした。鑑別診断のために脳脊髄液検査の結果と対比すべき血液検査の項目はどれか。
第111回国家試験 C28
78歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。 現病歴:7月下旬、快晴の日の午前10時ごろ自宅の暑い居間でぐったりしていたのをデイサービスの職員が発見し、救急車を要請した。 既往歴:不明。 生活歴(職員からの情報):冷房装置のない一戸建てで独居。喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:不明。 現症:意識レベルは JCSⅢ-100。身長 145 cm(推定)、体重 40 kg(推定)。直腸温 42.0 ℃。心拍数 116/分、整。血圧 84/46 mmHg。呼吸数 24/分で浅い。SpO2100 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。皮膚は乾燥している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。瞳孔径は両側3mm で、対光反射は両側遅延。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。 検査所見:血液所見:赤血球 510 万、Hb 17.5 g/dL、Ht 49 %、白血球 12,400 (桿状核好中球 12 %、分葉核好中球 43 %、好酸球2%、単球6%、リンパ球 37 %)、血小板 24 万。血液生化学所見:総蛋白 8.5 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、総ビリルビン 1.2 mg/dL、AST 43 U/L、ALT 32 U/L、LD 251 U/L(基準 176〜353)、尿素窒素 23 mg/dL、クレアチニン 1.8 mg/dL。
この患者への対応として適切でないのはどれか。
第111回国家試験 C29
78歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。 現病歴:7月下旬、快晴の日の午前10時ごろ自宅の暑い居間でぐったりしていたのをデイサービスの職員が発見し、救急車を要請した。 既往歴:不明。 生活歴(職員からの情報):冷房装置のない一戸建てで独居。喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:不明。 現症:意識レベルは JCSⅢ-100。身長 145 cm(推定)、体重 40 kg(推定)。直腸温 42.0 ℃。心拍数 116/分、整。血圧 84/46 mmHg。呼吸数 24/分で浅い。SpO2100 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。皮膚は乾燥している。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。瞳孔径は両側3mm で、対光反射は両側遅延。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。 検査所見:血液所見:赤血球 510 万、Hb 17.5 g/dL、Ht 49 %、白血球 12,400 (桿状核好中球 12 %、分葉核好中球 43 %、好酸球2%、単球6%、リンパ球 37 %)、血小板 24 万。血液生化学所見:総蛋白 8.5 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、総ビリルビン 1.2 mg/dL、AST 43 U/L、ALT 32 U/L、LD 251 U/L(基準 176〜353)、尿素窒素 23 mg/dL、クレアチニン 1.8 mg/dL。
この患者に輸液を開始しようとしたが、体表に十分な太さの静脈がなく末梢静脈路を確保できなかった。 今後の治療のために確保すべき静脈路はどれか。
第111回国家試験 C30
74歳の男性。胃癌の治療で入院中に胸痛の訴えがあったため当直医が呼ばれた。 現病歴: 3日前から消化器外科に入院し、昨日の午後に胃癌に対して幽門側胃切除術を受けていた。本日の夕方に胸痛を自覚したため訪室した看護師に申し出た。 既往歴:50歳時に糖尿病を指摘され内服治療中である。2年前に狭心症で経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受けており、抗血小板薬を服用中である。 生活歴:喫煙は 66 歳まで 20 本/日を 35 年間。飲酒はビール 350 mL/日を 40 年間。 家族歴:父親が糖尿病で脳梗塞のため死亡。 現症:意識は清明。身長 169 cm、体重 65 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 136/72 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 94%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。四肢に軽度の冷汗を認める。 検査所見(発症前):血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.3 g/dL、Ht 38 %、白血球9,300、血小板 21 万、PT-INR 1.18(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.9g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 29 U/L、ALT 19 U/L、LD 267 U/L(基準 176〜353)、ALP 283 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 51 U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 75 U/L(基準 37〜160)、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、尿酸 6.9 mg/dL、血糖 98 mg/dL、HbA1c 6.5% (基準 4.6〜6.2)、Na 138 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 1.1 mg/dL。
心電図で ST-T 変化を認め、虚血性心疾患を疑った。まず確認すべきなのはどれか。
第111回国家試験 C31
74歳の男性。胃癌の治療で入院中に胸痛の訴えがあったため当直医が呼ばれた。 現病歴: 3日前から消化器外科に入院し、昨日の午後に胃癌に対して幽門側胃切除術を受けていた。本日の夕方に胸痛を自覚したため訪室した看護師に申し出た。 既往歴:50歳時に糖尿病を指摘され内服治療中である。2年前に狭心症で経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受けており、抗血小板薬を服用中である。 生活歴:喫煙は 66 歳まで 20 本/日を 35 年間。飲酒はビール 350 mL/日を 40 年間。 家族歴:父親が糖尿病で脳梗塞のため死亡。 現症:意識は清明。身長 169 cm、体重 65 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 136/72 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 94%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。四肢に軽度の冷汗を認める。 検査所見(発症前):血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.3 g/dL、Ht 38 %、白血球9,300、血小板 21 万、PT-INR 1.18(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.9g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 29 U/L、ALT 19 U/L、LD 267 U/L(基準 176〜353)、ALP 283 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 51 U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 75 U/L(基準 37〜160)、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、尿酸 6.9 mg/dL、血糖 98 mg/dL、HbA1c 6.5% (基準 4.6〜6.2)、Na 138 mEq/L、K 4.3 mEq/L、Cl 100 mEq/L。CRP 1.1 mg/dL。
検査の結果、急性冠症候群と診断した。今後の対応として適切でないのはどれか。
第111回国家試験 D1
食物アレルギーで正しいのはどれか。
第111回国家試験 D2
白内障の手術場面を別に示す。行っている操作はどれか。
第111回国家試験 D3
身体依存が最も形成されやすいのはどれか。
第111回国家試験 D4
吸気に最も関与している筋はどれか。
第111回国家試験 D5
食道亜全摘術後の再建臓器として最も使用されるのはどれか。
第111回国家試験 D6
腹部造影CTを別に示す。対応として適切なのはどれか。
第111回国家試験 D7
手根管症候群で筋力低下がみられるのはどれか。