平成30年度(第113回)医師国家試験問題|午後81問〜午後100問
第113回国家試験 D11
多発性硬化症との鑑別上、視神経脊髄炎を疑うべき所見はどれか。
第113回国家試験 D12
新生児期に光線療法の対象となる黄疸を生じるのはどれか。
第113回国家試験 D13
胆囊結石に対する腹腔鏡下胆囊摘出術の適応禁忌となる併存疾患はどれか。
第113回国家試験 D14
小球性低色素性貧血を呈する疾患はどれか。2つ選べ。
第113回国家試験 D15
右肺尖に発生した肺癌の患者に、右側のみ眼瞼下垂を認める。他にみられる可能性の高い徴候はどれか。2つ選べ。
第113回国家試験 D16
20歳の男性。通学している大学でインフルエンザが流行しており、本日午前7時30分ころから悪寒、発熱および関節痛が出現した。朝食をとったが、悪心および下痢はないという。大学に登学してよいか迷い、午前9時の開院と同時に来院した。 意識は清明。体温 40.1 ℃。脈拍 120/分、整。血圧 124/62 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98 % (room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。皮膚のツルゴールは正常。 説明として適切なのはどれか。
第113回国家試験 D17
14歳の女子。発熱を主訴に祖母に連れられて来院した。4日前から発熱を認め、2日前から両側眼瞼の腫脹と両側頸部に腫瘤を触れるのに気が付いた。本日も解熱しないため受診した。 体温 38.9 ℃。脈拍 92/分、整。呼吸数 20/分。SpO2 98 % (room air)。四肢、体幹に発疹を認めない。両側眼瞼の腫脹を認める。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染や充血を認めない。口蓋扁桃は発赤し白苔を認める。両側頸部に径 2cm のリンパ節を数個ずつ触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を 2cm、左肋骨弓下に脾を 3cm 触知する。 診断に有用な血液検査項目はどれか。
第113回国家試験 D18
73歳の女性。ハチに顔面を刺され、意識がもうろうとなっているところを家族に発見され、救急車で搬入された。過去に一度ハチに刺されたことがある。 JCSⅡ-10。体温 36.2 ℃。心拍数 84/分、整。血圧 80/50 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 99 % (マスク 4L/分酸素投与下)。全身に膨疹を認める。両側胸部で wheezes を聴取する。 直ちに行う治療はどれか。
第113回国家試験 D19
65歳の男性。胸部エックス線写真で右中肺野に異常陰影を指摘されて受診した。5年前から間質性肺炎を指摘されている。1年前に急性増悪で入院し、その後、外来で副腎皮質ステロイドの内服治療を受けていたが、ここ1年は症状が安定していたため、自己判断で内服を中断し受診していなかった。喫煙は 20 本/日を 40 年間。5年前から禁煙していたが、6か月前から喫煙を再開していた。胸部単純 CT で右肺上葉に腫瘤影を認め、経気管支肺生検で肺扁平上皮癌と診断された。全身検索の結果、右肺門部リンパ節転移を認めたが、それ以外には転移を認めなかった。 体温 36.6 ℃。脈拍 76/分、整。血圧 132/76 mmHg。呼吸数 12/分。SpO2 95 % (room air)。両側胸部で fine crackles を聴取する。呼吸機能検査:VC 3.5 L、FEV1 2.2L。心電図、心エコー検査で異常を認めない。胸部エックス線写真及び胸部単純CTを別に示す。 患者に手術の選択肢もあることを説明したところ手術を希望した。この患者の周術期について適切でないのはどれか。
第113回国家試験 D20
68歳の男性。手背の結節を主訴に来院した。3週間前に右手背の 3mm 大の皮疹に気付いた。皮疹が最近2週間で急速に増大してきたため受診した。 右手背に径12mm の褐色調の腫瘤を認め、中央に角栓を伴う。波動はなく弾性硬に触知する。腫瘤の部分生検では、中央が陥凹して角質が充満し、有棘細胞の腫瘍性増殖を認めた。腫瘤は生検1か月後にピーク時の25%以下に縮小した。右手背の写真及び生検組織の H-E 染色標本を別に示す。 最も考えられるのはどれか。
第113回国家試験 D21
45歳の男性。膵腫瘍の精査のため来院した。15年前から2型糖尿病で自宅近くの診療所で内服治療を受けている。3か月前から急激に血糖コントロールが悪化したため腹部超音波検査を受けたところ、膵腫瘍が認められ紹介受診となった。eGFR 48 mL/分/1.73 m2。 腹部造影 CT を計画する際に検査前後数日間の休薬を検討すべき薬剤はどれか。
第113回国家試験 D22
78歳の女性。繰り返す奇妙な動作を心配した夫に付き添われて来院した。4年前から物忘れが目立つようになり、徐々に買い物や炊事に支障をきたすようになった。2年前にAlzheimer型認知症と診断され、ドネペジルの処方を受けていた。2か月前から、食事中や会話中に突然それまでの動作が止まり、口唇を尖らせた後に1分間くらい口をもぐもぐするようになった。この間、家族が声をかけても返答はなく、視線は宙を見据えている。奇妙な動作中の意識があるかどうかを確認するため詳しく問診しても、認知症のため確かな返答は得られない。 意識は清明。体温36.2 ℃。脈拍 56/分、整。血圧 126/80 mmHg。神経診察では局所神経徴候を示す異常所見を認めない。 頭部 MRI で海馬の萎縮を認めるが、1年前と比較して新たな病変はみられない。 最も考えられるのはどれか。
第113回国家試験 D23
32歳の女性。腹痛と悪心を主訴に来院した。毎年、健診は受診しているが、これまで異常を指摘されたことはない。5日前から 37 ℃台の発熱と咽頭痛があったが、軽い感冒と考えてそのままにしていた。昨日夜から上腹部痛と悪心を自覚し、今朝になり受診した。 意識は清明。身長 158 cm、体重 46 kg。脈拍 96/分、整。血圧 102/58 mmHg。腹部に圧痛は認めない。 尿所見:蛋白 (-) 、糖 3+、ケトン体 3+。血液所見:赤血球 510 万、Hb 15.0 g/dL、Ht 45 %、白血球 11,500、血小板 27 万。血液生化学所見:クレアチニン 1.2 mg/dL、アミラーゼ 270 U/L (基準37〜160)、空腹時血糖 328 mg/dL、HbA1c 6.2 % (基準 4.6〜6.2)、トリグリセリド 388 mg/dL、LDL コレステロール 58 mg/dL、HDL コレステロール 28 mg/dL、血清総ケトン体 1,885 μmol/L (基準 130 以下)。CRP 2.0 mg/dL。動脈血ガス分析:pH 6.99、PaCO2 22.1 Torr、PaO2 83.5 Torr、HCO3 - 5.2 mEq/L。腹部単純CT で異常を認めない。生理食塩液の輸液を開始した。 次に行うべきなのはどれか。
第113回国家試験 D24
16歳の男子。相撲をしていて右眼を打撲し受診した。入院の上、治療を行い、右眼の視力が0.4(矯正不能)から0.3( 1.2× -2.0D)となった。治療前後の眼底写真(広角撮影像)を別に示す。 行われた治療はどれか。
第113回国家試験 D25
62歳の女性。呼吸困難を主訴に救急車で搬入された。数日前から風邪気味で、昨日から動くと息苦しいと訴えていた。今朝息苦しさが強くなったため家族が救急車を要請した。 意識は清明。体温 38.5 ℃。心拍数 120/分、整。血圧 86/46 mmHg。呼吸数 28/分。SpO2 88 % (リザーバー付マスク 10 L/分酸素投与下)。心雑音はないが、心音は奔馬調律である。全胸部に coarse crackles を聴取する。胸部エックス線写真で右下肺野を優位とする両肺野浸潤影を認めた。気管挿管後ICUに入室し人工呼吸を開始した。 血液所見:赤血球 345 万、Hb 11.4 g/dL、Ht 34 %、白血球 12,800、血小板 23 万。血液生化学所見:総蛋白 5.9 g/dL、アルブミン 2.8 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 283 U/L、ALT 190 U/L、LD 392 U/L (基準 176〜353)、尿素窒素 13 mg/dL、クレアチニン 0.3 mg/dL、CK 439 U/L (基準 30〜140)、脳性ナトリウム利尿ペプチド<BNP>1,728 pg/mL (基準 18.4 以下)。CRP 2.0 mg/dL。12誘導心電図で前胸部誘導に陰性 T 波を認める。心エコー検査で左室はびまん性に壁運動が低下し、左室駆出率は 30 %。血行動態を把握するため肺動脈カテーテルを挿入した。 この患者の測定値と考えられるのはどれか。
第113回国家試験 D26
13歳の女子。徐々に悪化する左前腕痛と左手指のしびれを主訴に来院した。2日前に高さ 1.5 m の飛び箱から落下した際に、床に左手をついて受傷し、同日、救急車で搬入された。左前腕骨開放骨折と診断され、緊急で骨折に対する観血的整復内固定術を受けた。手術翌日に退院したが、深夜になり前腕の疼痛が悪化し、手指のしびれが出現したため、午後 11 時に救急外来を受診した。 既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。救急外来受診時の患肢の外観写真及びエックス線写真を別に示す。 この患者に対する治療が翌朝以降に遅れることで生じるのはどれか。
第113回国家試験 D27
30歳の女性。頭痛、乳汁漏出および月経異常を主訴に来院した。半年前から月経不順となった。最近、乳白色の乳汁の分泌に気付き、頭痛や目の奥の痛みを頻繁に自覚するようになった。 身長 153 cm、体重 43 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 110/60 mmHg。初診時の血清プロラクチン 320 ng/mL (基準 15 以下)。 診断に有用でないのはどれか。
第113回国家試験 D28
72歳の女性。2か月前から便に血液が付着し、便秘傾向になったため来院した。腹部は平坦、軟で、腫瘤を触知しない。下部消化管内視鏡像及びCTコロノグラムを別に示す。胸腹部造影 CT で他臓器やリンパ節への転移を認めない。 術式として適切なのはどれか。
第113回国家試験 D29
22歳の男性。黄疸を主訴に来院した。家族に黄疸を指摘されたため受診した。自覚症状はない。 血液所見:赤血球 452 万、Hb 14.3 g/dL、白血球 5,400、血小板 18 万。血液生化学所見:総ビリルビン 3.8 mg/dL、直接ビリルビン 0.3 mg/dL、AST 18 U/L、ALT 19 U/L、LD 210 U/L(基準 176〜353)、ALP 220 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 19 U/L (基準 8〜50)、HBs 抗原陰性、HCV 抗体陰性。低カロリー食試験で血清ビリルビン値は2倍以上に上昇した。 対応として適切なのはどれか。
第113回国家試験 D30
66歳の女性。左耳閉感を主訴に来院した。2週間前から左耳閉感を自覚するようになったため受診した。耳痛やめまいはない。鼻腔内および口腔内に異常を認めない。左上頸部に硬い腫瘤を複数触知する。左耳の鼓膜写真を別に示す。 病変の有無を確認すべき部位はどれか。