平成30年度(第113回)医師国家試験問題|午後-79問〜午後-60問

第113回国家試験 A41

57歳の女性。下肢の皮疹を主訴に来院した。6か月前から激しい瘙痒を伴う皮疹が多発し、自宅近くの診療所で副腎皮質ステロイド外用薬を処方されているが、寛解と増悪を繰り返すため受診した。 下肢の広範囲に米粒大から爪甲大の丘疹、結節が多発し、表面は紫紅色調で光沢を帯び、白色線条を伴う。既往歴に特記すべきことはない。内服している薬はない。皮膚生検を施行したところ、表皮基底細胞の液状変性と表皮直下の帯状細胞浸潤を認めた。下肢の写真及び生検組織の H-E 染色標本を別に示す。 さらに確認すべき部位はどれか。

第113回国家試験 A42

70歳の女性。発熱と右季肋部痛を主訴に来院した。6か月前に急性冠症候群に対して経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受け、抗血小板薬を2種類服用している。1週間前から右季肋部に鈍痛を自覚していた。本日就寝前に発熱と右季肋部に強い痛みが出現したため救急外来を受診した。 意識は清明。体温 38.4 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 142/92 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 96 %(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。右季肋部から心窩部に圧痛を認める。筋性防御を認めない。 血液所見:赤血球 398 万、Hb 12.5 g/dL、Ht 40 %、白血球 15,300、血小板 21 万。血液生化学所見:総蛋白 6.9 g/dL、アルブミン 3.7 g/dL、総ビリルビン 4.9 mg/dL、直接ビリルビン 3.9 mg/dL、AST 282 U/L、ALT 164 U/L、LD 478 U/L 基 準 176〜353 、ALP 849 U/L 基 準 115〜359 、γ-GTP 632 U/L (基準 8〜50)、アミラーゼ 210 U/L (基準 37〜160)、クレアチニン 0.8 mg/dL、血糖 99 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 99 mEq/L。CRP 10 mg/dL。腹部造影 CT の水平断像及び冠状断像を別に示す。 まず行うべきなのはどれか。

第113回国家試験 A43

66歳の女性。下腿の浮腫を主訴に来院した。2年前に関節リウマチと診断された。発症時には朝のこわばりが昼過ぎまで続き家事にも支障があったが、現在はプレドニゾロンとブシラミンの内服治療で症状はほとんどない。1か月前から顔と両下腿の浮腫を自覚し、体重が2kg 増加したため受診した。今まで尿所見に異常は認められなかった。家族歴で父方祖母に関節リウマチがあるが、腎疾患はない。 身長 160 cm、体重 55 kg。脈拍 72/分、整。血圧 154/80 mmHg。呼吸数 12/分。頭頸部と胸腹部に異常を認めない。両下腿に圧痕を残す浮腫を認める。関節の圧痛、腫脹、変形を認めない。 尿所見:蛋白 3+、糖 (-) 、潜血 (-)、沈渣に変形赤血球 2〜3/HPF を認める。随時尿の尿蛋白/クレアチニン比は 1.5 g/g クレアチニン (基準 0.15 未満)。血液所見:赤血球 395 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 40 %、白血球 7,800、血小板 10 万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、尿素窒素 13 mg/dL、クレアチニン 0.5 mg/dL。CRP 0.2 mg/dL。腹部超音波検査で腎臓に異常を認めない。 対応として最も適切なのはどれか。

第113回国家試験 A44

81歳の男性。嚥下困難を主訴に来院した。1か月前から嚥下困難を自覚しており、2週間前から食事摂取が困難となったため受診した。前立腺癌でホルモン療法を受けている。 身長 160 cm、体重 56 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 136/88 mmHg。呼吸数 14/分。甲状腺の腫大を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。上部消化管内視鏡像を別に示す。 考えられるのはどれか。

第113回国家試験 A45

32歳の女性。無月経を主訴に来院した。妊娠反応陽性。超音波検査で子宮 12cm 内に小囊胞の集簇を認め、妊娠10週の全胞状奇胎と診断した。 患者への説明として適切でないのはどれか。

第113回国家試験 A46

65歳の男性。徐々に増大する左頸部の腫瘤と嚥下障害を主訴に来院した。左頸部に径 2.5 cm の弾性硬のリンパ節を1個触知する。圧痛を認めない。同部位の刺吸引細胞診で扁平上皮癌と診断された。喫煙は 20 本/日を30年間。飲酒は日本酒4合/日を 45 年間。内視鏡像を別に示す。 考えられるのはどれか。

第113回国家試験 A47

64歳の男性。ろれつの回りにくさと体重減少を主訴に来院した。半年前から話しにくさを自覚しており、同僚からも声が小さくて聞き取りにくいと指摘されるようになった。2か月前から食事に時間がかかるようになり、2か月間で体重が5kg減少している。1か月前からは両手指の脱力で箸が使いづらく、階段昇降も困難になってきたため受診した。 意識は清明。眼球運動に制限はなく顔面の感覚には異常を認めないが、咬筋および口輪筋の筋力低下を認め、舌に萎縮と線維束性収縮を認める。四肢は遠位部優位に軽度の筋萎縮および中等度の筋力低下を認め、前胸部、左上腕および両側大腿部に線維束性収縮を認める。腱反射は全般に亢進しており、偽性の足間代を両側性に認める。Babinski 徴候は両側陽性。四肢および体幹には感覚障害を認めない。 血液生化学所見:総蛋白 5.8 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、尿素窒素 11 mg/dL、クレアチニン 0.4 mg/dL、血糖 85 mg/dL、HbA1c 4.5 % (基準 4.6〜6.2) 、CK 182 U/L (基準 30〜140)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.38、PaCO2 45 Torr、PaO2 78 Torr、HCO3- 23 mEq/L。呼吸機能検査:%VC 62 %。末梢神経伝導検査に異常を認めない。針筋電図では僧帽筋、第1背側骨間筋および大腿四頭筋に安静時での線維自発電位と陽性鋭波、筋収縮時には高振幅電位を認める。頸椎エックス線写真および頭部単純 MRI に異常を認めない。嚥下造影検査で造影剤の梨状窩への貯留と軽度の気道内流入とを認める。 この時点でまず検討すべきなのはどれか。

第113回国家試験 A48

82歳の男性。疲労感を主訴に来院した。3か月前から顔面が蒼白であることを指摘され、息切れと疲労感を自覚するようになった。2か月前から味覚異常と手足のしびれとを感じていた。3週間前から疲労感が増悪するため受診した。20 年前に胃癌に対し胃全摘術を受けた。 身長 172 cm、体重 56 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 102/66 mmHg。呼吸数 18/分。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。上腹部正中に手術痕を認める。両側下腿に軽度の浮腫を認める。両下肢に末梢優位の感覚障害を認める。 血液所見:赤血球 162 万、Hb 6.2 g/dL、Ht 21 %、白血球 3,300、血小板 11 万。血液生化学所見:総蛋白 5.8 g/dL、アルブミン 2.8 g/dL、総ビリルビン 1.6 mg/dL、AST 24 U/L、ALT 32 U/L、LD 648 U/L (基準 176〜353)、尿素窒素 11 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖 106 mg/dL。 まず投与すべきなのはどれか。

第113回国家試験 A49

24歳の女性。不正性器出血を主訴に来院した。月経終了2日後から少量の出血が始まり 10 日間持続したため来院した。 月経周期 40〜90 日、不整、持続5日間。身長 162 cm、体重 74 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 122/68 mmHg。呼吸数 18/分。内診で子宮は正常大で軟、圧痛を認めない。外子宮口に少量の血液を認める。両側付属器に異常を認めない。 この時点での検査として適切でないのはどれか。

第113回国家試験 A50

75歳の女性。外陰部の違和感と不正性器出血を主訴に来院した。発熱はなく痒みや痛みもない。52 歳で閉経。左大陰唇外側に辺縁が隆起し中央に潰瘍を形成した腫瘤を認める。左外側に鼠径リンパ節を触知する。外陰部の写真を別に示す。 考えられるのはどれか。 《陰部画像:掲載不可》潰瘍化している腫瘤を認める陰部画像

第113回国家試験 A51

56歳の女性。頭痛と発熱を主訴に来院した。2週間前に山菜採りに行き、その数日後から右耳介後部に水疱が出現した。4日前から頭痛と発熱が出現し、3日前に自宅近くの診療所を受診しセフェム系抗菌薬を処方されたが症状は改善しなかった。昨日から全身に発疹が出現した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。海外渡航歴はなく、ペット飼育歴もない。 意識は清明。体温 40.1 ℃。脈拍 108/分、整。血圧 150/82 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 96 %(room air)。眼瞼結膜に異常を認めない。眼球結膜に充血を認める。口腔内粘膜に異常を認めない。頸部にリンパ節腫大を認めない。項部硬直を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。体幹部に赤色の小丘疹が散在しているが、癒合傾向を認めない。右耳介後面下部の写真を別に示す。 血液所見:赤血球 497 万、Hb 14.8 g/dL、Ht 46 %、白血球 2,400 分(葉核好中球 75 %、好酸球 0%、好塩基球 1%、単球 3%、リンパ球 21 %、異型リンパ球 0%)、血小板 11 万。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総ビリルビン 1.6 mg/dL、AST 500 U/L、ALT 275 U/L、LD 881 U/L 基準 176〜353 、ALP 1,477 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 326 U/L (基準 8〜50)、アミラーゼ 73 U/L (基準 37〜160)、CK 86 U/L (基準 30〜140)、尿素窒素 10 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL。CRP 5.3 mg/dL。 最も考えられる疾患はどれか。

第113回国家試験 A52

74 歳の男性。息苦しさを主訴に来院した。半年前から階段昇降時などに息切れを自覚していた。2日前から症状が増悪し、昨夜からは安静時にも息苦しさを自覚するようになったため来院した。 体温 36.4 ℃。脈拍 112/分、整。血圧 152/82 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 95 %(room air)。両下胸部にcoarse cracklesを聴取する。胸部エックス線写真を別に示す。心電図は洞性頻脈でST-T変化を認めない。心エコー図を別に示す。 本症例に関する研修医と指導医の会話を示す。 研修医:「心不全の患者さんが来院しました」指導医:「先ほど私もお会いしました。心音はどうですか」研修医:「 (ア) を呈していました。」指導医:「心雑音はどうですか」研修医:「Levine Ⅲ/Ⅵの (イ) 収縮期雑音を聴取しました」指導医:「体位や呼吸で心雑音の強度は変化しますか」研修医:「 (ウ) 」指導医:「頸静脈の所見はどうですか」研修医:「上体の 45 度の挙上で胸骨角から 10 cm の高さまで頸静脈拍動を認めます。推定の中心静脈圧は (エ) 程度だと思います」指導医:「触診所見はどうでしょうか」研修医:「心尖拍動は (オ) で触知されました」 ア〜オと会話内容の組合せで正しいのはどれか。

第113回国家試験 A53

66歳の男性。総胆管結石の加療目的で入院となり、内視鏡的結石除去術を施行した。終了2時間後から持続性の心窩部痛と背部痛を訴えた。 体温 37.5 ℃。脈拍108/分、整。血圧 94/66 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 94 %(room air)。腹部は平坦で、心窩部を中心に広範囲に圧痛を認める。 血液所見:赤血球 502 万、Hb 15.3 g/dL、Ht 45 %、白血球 12,700、血小板 26 万、PT-INR 1.1(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総ビリルビン 4.4 mg/dL、AST 370 U/L、ALT 177 U/L、LD 491U/L(基準 176〜353)、γ-GTP 337 U/L(基準 8〜50)、アミラーゼ 1,288 U/L(基準37〜160)、尿素窒素 23 mg/dL、クレアチニン 1.2 mg/dL。CRP 9.3 mg/dL。腹部造影CTを別に示す。 次に行うべき治療として適切でないのはどれか。

第113回国家試験 A54

65歳の女性。検診のマンモグラフィで異常陰影を指摘され来院した。右乳房に長径2cm の腫瘤を触知する。腫瘤は円形、弾性硬で、可動性は良好で圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。 マンモグラムを別に示す。乳房超音波検査で辺縁不整な低エコー腫瘤像を認める。 次に行うべき検査はどれか。

第113回国家試験 A55

29歳の女性。発熱と左上肢の倦怠感とを主訴に来院した。2週間前から37℃台の発熱が続いていた。市販の感冒薬を内服していたが、改善しなかった。7日前から左上肢の倦怠感を自覚するようになった。3日前から発熱が 38 ℃台となったため受診した。 体温 38.1 ℃。脈拍 88/分、整。血圧:右上肢 92/46 mmHg、左上肢64/34 mmHg。呼吸数 16/分。左頸部に血管雑音を聴取する。橈骨動脈の触知に左右差があり、左が減弱している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。皮疹を認めない。尿所見に異常を認めない。 血液所見:赤血球 403 万、Hb 10.0 g/dL、Ht 30 %、白血球 10,900 (桿状核好中球 28 %、分葉核好中球 47 %、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 7%、リンパ球 16%)、血小板 46 万。血液生化学所見:尿素窒素 13 mg/dL、クレアチニン 0.5 mg/dL。免疫血清学所見:CRP 11 mg/dL、抗核抗体陰性、リウマトイド因子<RF>陰性。胸部造影 CT の水平断像及び冠状断像を別に示す。 最も考えられるのはどれか。

第113回国家試験 A56

81歳の女性。脳梗塞後のリハビリテーションのため入院中である。細菌性肺炎を併発し、2週間前から抗菌薬による治療を受けていた。1週間前から腹痛、下痢を訴えるようになり、昨日から下痢が頻回になった。 意識は清明。身長 156 cm、体重 41 kg。体温 37.9 ℃。脈拍 80/分、不整。血圧 146/90 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96 %(鼻カニューラ 3L/分酸素投与下)。心音に異常を認めない。両側胸部にcoarse crackles を聴取する。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。左下腹部に圧痛を認める。左上下肢に不全麻痺を認める。 血液所見:赤血球 358 万、Hb 10.9 g/dL、白血球 13,300、血小板 19 万。血液生化学所見:総蛋白 5.7 g/dL、アルブミン 2.9 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 26 U/L、ALT 19 U/L、LD 245 U/L (基準 176〜353)、クレアチニン 1.1 mg/dL、血糖 98 mg/dL、HbA1c 7.1 %(基準 4.6〜6.2)、Na 138 mEq/L、K 3.4 mEq/L、Cl 101 mEq/L。CRP 3.1 mg/dL。 次に行うべき検査はどれか。

第113回国家試験 A57

24歳の男性。血尿を主訴に来院した。これまで尿の異常を指摘されたことはなかった。4日前に咽頭痛と 38℃の発熱があり、昨日から血尿が出現したため受診した。 体温 37.8 ℃、脈拍 72/分、整。血圧 120/78 mmHg。口蓋扁桃の腫大を認める。顔面および下肢に浮腫を認めない。皮疹は認めない。 尿所見:蛋白3+、潜血3+、沈渣は赤血球 100 以上/HPF。随時尿の尿蛋白/クレアチニン比 2.0 g/g クレアチニン(基準 0.15 未満 )。血液生化学所見:総蛋白 6.7 g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、IgG 1,400 mg/dL (基準 960〜1,960)、IgA 450 mg/dL(基準 110〜420)、IgM 100 mg/dL (基準 65〜350)、CK 50 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL。免疫血清学所見:抗核抗体陰性、CH50 30 mg/dL (基準 30〜40)、C3 88 mg/dL (基準 52〜112)、C4 20 mg/dL(基準 16〜51)、ASO 200 単位(基準 250 以下)、MPO-ANCA 陰性、PR 3-ANCA 陰性。 最も考えられるのはどれか。

第113回国家試験 A58

72歳の男性。幻視を主訴に来院した。1年前から睡眠中に怒鳴ったり、布団を蹴って足をバタバタしていると妻に指摘されるようになった。このころから時々立ちくらみを自覚していた。半年前から徐々に食事や着替えの動作が遅くなった。1か月前から夜中に「部屋の中で見知らぬ人が踊っている」と訴えるようになったため、家族に付き添われて受診した。喫煙は 10 本/日、飲酒はビール 350 mL/日。 意識は清明。身長 163 cm、体重 56 kg。体温 36.4 ℃。脈拍 68/分、整。血圧 158/86 mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 23 点 30 点満点 、Mini-Mental State Examination<MMSE>25 点 30 点満点 。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。姿勢は前かがみで歩行は小刻みである。 尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 342 万、Hb 10.7 g/dL、Ht 32 %、白血球 8,300、血小板 14 万。血液生化学所見:総蛋白 7.4 g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総 ビ リ ル ビ ン 0.9 mg/dL、AST 42 U/L、ALT 48 U/L、LD 354 U/L (基準176〜353)、γ-GTP 56 U/L (基準 8〜50)、アンモニア 32 μg/dL (基準 18〜48)、尿素窒素 17 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL、血糖 112 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 104 mEq/L。CRP 0.3 mg/dL。 診断に最も有用なのはどれか。

第113回国家試験 A59

62歳の男性。血糖コントロールと腎機能の悪化のため来院した。20 年前から2型糖尿病で自宅近くの診療所でスルホニル尿素薬の内服治療を受けている。5年前から血糖コントロールが徐々に悪化し、血清クレアチニンも上昇してきたため、紹介されて受診した。 身長 165 cm、体重 76 kg。脈拍 84/分、整。血圧 168/62 mmHg。両眼に増殖性網膜症を認める。両下腿に軽度の浮腫を認める。アキレス腱反射は両側消失。 尿所見:蛋白2+、糖2+、ケトン体(-) 。血液所見:赤血球 395 万、Hb 11.2 g/dL、Ht 32 %、白血球 5,500、血小板 22 万。血液生化学所見:尿素窒素 40 mg/dL、クレアチニン 3.2 mg/dL、空腹時血糖 226 mg/dL、HbA1c 10.8 % (基準 4.6〜6.2)。 糖尿病治療について最も適切な対応はどれか。

第113回国家試験 A60

1歳の男児。発熱と頸部の腫脹が出現したため、両親に連れられて来院した。5日前から 39 ℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹に気付いたため来院した。 体温 39.2 ℃。心拍数 144/分、整。呼吸数 40/分。眼球結膜に充血を認める。両側の頸部に複数のリンパ節を触知する。前胸部、手掌および足底に紅斑を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を 2cm、左肋骨弓下に脾を 1cm 触知する。 血液所見:赤血球 394 万、Hb 10.5 g/dL、Ht 33 %、白血球 17,400 (桿状核好中球 8%、分葉核好中球 71 %、好酸球 2%、好塩基球 0%、単球 4%、リンパ球 15 %)、血小板 43 万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、AST 35 U/L、ALT 23 U/L、LD 450 U/L (基準 202〜437)。CRP 6.7 mg/dL。口唇の写真を別に示す。 考えられるのはどれか。