平成30年度(第113回)医師国家試験問題|午後-59問〜午後-40問

第113回国家試験 A61

70歳の女性。胸の重苦しさと息苦しさを主訴に来院した。1週間前から、朝の犬の散歩中に胸の重苦しさと息苦しさを自覚するようになったが、2〜3分の休息で症状が消失していた。本日、午前9時から同症状が出現し持続するため、午前10時に家族とともに受診した。65歳時に高血圧症と脂質異常症を指摘されたが、定期的な通院は行っていない。家族歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。 身長 156 cm、体重 60 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 116/78 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 99 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。 胸部エックス線写真に異常を認めない。12 誘導心電図で V2、V3、V4 でST低下を認める。心エコー検査で左室前壁の壁運動低下を認めるが、心囊液の貯留を認めない。 最も可能性が高いのはどれか。

第113回国家試験 A62

25歳の女性。外陰部瘙痒と帯下を主訴に来院した。3日前から強い瘙痒と帯下の増量を自覚するようになった。最終月経は15日前から6日間。 月経周期は29日型、整。口腔内に病変を認めない。鼠径リンパ節の腫大を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。外陰部は発赤し、帯下は酒粕様で多い。帯下の顕微鏡写真(無染色)を別に示す。 適切な治療薬はどれか。

第113回国家試験 A63

40歳の初妊婦(1妊0産)。尿糖が陽性であったため、自宅近くの産科診療所から紹介され受診した。現在、妊娠 30 週。家族歴、既往歴に特記すべきことはない。 身長 160 cm、体重 62 kg(妊娠前体重 55 kg)。体温 36.7 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 110/80 mmHg。 経口グルコース負荷試験<75 g OGTT>:負荷前値:90 mg/dL、時間値:190 mg/dL、 時間値:160 mg/dL。HbA1c 5.4 %(基準 4.6〜6.2)。 適切な対応はどれか。

第113回国家試験 A64

38歳の女性。四肢の脱力を主訴に来院した。5か月前に特に誘因なく両下腿以遠にじんじんとしたしびれ感を自覚するようになったが、症状は変動があり、軽減することもあったため様子をみていた。2か月前に両上肢にも同様の症状がみられるようになり、2週間前から徐々に両上下肢の脱力が強くなり、つま先がひっかかって転倒したり、瓶の蓋が開けられなくなったりしたため受診した。 意識は清明。体温 36.0 ℃。脈拍 64/分、整。血圧 114/60 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に浮腫や皮疹、剛毛を認めない。脳神経に異常を認めない。腱反射は四肢で消失。Babinski 徴候は陰性。徒手筋力テストは両上肢近位筋で4 。握力は右 8 kg、左 10 kg。両下肢近位筋は4、前脛骨筋、下腿三頭筋は3で、つま先立ちはかろうじて可能である。異常感覚の自覚はあるが、触覚、温痛覚は正常。振動覚は両上下肢とも低下している。 尿所見および血液所見に異常を認めない。心電図と胸部エックス線写真に異常を認めない。脳脊髄液検査:初圧 80 mmH2O (基準 70〜170)、細胞数 1/μL (基準 0〜2)、蛋白(定量) 126 mg/dL (基準 15〜45) 、糖(定量) 56 mg/dL (基準 50〜75)。運動神経伝導検査の結果を別に示す。 適切な治療はどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A65

82歳の男性。咳嗽と微熱を主訴に来院した。4か月前に咳嗽と微熱が出現したため、3か月前に自宅近くの診療所を受診した。キノロン系抗菌薬を1週間処方され解熱した。2週間前に同症状が再燃したため再び受診し、同じキノロン系抗菌薬の内服で改善した。3日前から再度、咳嗽と微熱、さらに喀痰が出現したが自宅近くの診療所が休診であったため受診した。喀痰検査で結核菌が検出された。 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A66

23歳の女性。入社時の健康診断の胸部エックス線写真で異常陰影を指摘されたため産業医から紹介受診となった。自覚症状はない。喫煙歴はない。胸部エックス線写真を別に示す。 次に行うべき検査はどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A67

64歳の女性。歩行困難のため救急車で搬入された。1週間前から歩きづらさを自覚していた。本日起床してから歩行不能となったため救急車を要請した。60歳時に右乳癌で右乳房切除術。生活歴および家族歴に特記すべきことはない。 搬入時、意識は清明。体温 36.3 ℃。心拍数 72/分、整。血圧 114/62 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 97 %(room air)。徒手筋力テストで両下肢筋力は 0〜1。腋窩以下体幹と両下肢に感覚障害があり、上位胸椎棘突起に叩打痛を認める。 血液所見:赤血球 413 万、Hb 12.0 g/dL、白血球 7,200、血小板 27 万。血液生化学所見:総蛋白 7.3 g/dL、アルブミン 4.2 g/dL、尿素窒素 13 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、AST 40 U/L、ALT 24 U/L、LD 768 U/L (基準 176〜353)、ALP 997 U/L (基準 115〜359)、Na 144 mEq/L、K 4.8 mEq/L、Cl 105 mEq/L。CRP 1.4 mg/dL。胸椎エックス線写真、頸胸椎MRIのT2強調矢状断像及び第3胸椎レベルの水平断像を別に示す。 まず検討すべきなのはどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A68

3か月の乳児。昨晩から38℃台の発熱があり、持続するため両親に連れられて受診した。機嫌は悪く、哺乳量もいつもより少なく、少しうとうとしている。 身長 55 cm、体重 5,700 g。体温 38.7 ℃。心拍数 142/分、整。呼吸数 44/分。SpO2 97%(room air)。皮膚色は良好。大泉門は平坦で、2×2 cm と開大している。咽頭に発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm、柔らかく触知する。 尿所見:蛋白 (-)、糖 (-) 、ケトン体 2+ 、潜血 (-) 、沈渣は赤血球 1〜4/HPF、白血球 100 以上/HPF。血液所見:赤血球 403 万、Hb 10.0 g/dL、Ht 31 %、白血球 21,300 (桿状核好中球 24 %、分葉核好中球 44 %、好酸球 2%、好塩基球 1%、単球 6%、リンパ球 23 %)、血小板 12 万、PT-INR 1.1 (基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 4.5 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 27 U/L、ALT 21 U/L、尿素窒素 6 mg/dL、クレアチニン 0.3 mg/dL、血糖 114 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 5.0 mEq/L、Cl 107 mEq/L。CRP 5.1 mg/dL。 次に行うべき検査はどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A69

40歳の女性。頭部MRIの異常所見を指摘され来院した。1か月前から時折前頭部の鈍い痛みを自覚している。1週間前に職場同僚がくも膜下出血で入院したため、心配になり自宅近くの医療機関を受診し、頭部MRIで異常を指摘されたため紹介受診した。 身長 162 cm、体重 45 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 76/分、整。血圧 124/78 mmHg。身体診察に明らかな異常を認めない。頭部造影MRIを別に示す。 異常が予想される検査はどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A70

13歳の女子。疲れやすさを主訴に来院した。陸上部に所属している。1年前から疲れやすさを自覚し、短距離走の成績が落ちてきたことに気づいていた。最近、より疲れやすくなったため受診した。食欲は旺盛である。病院の階段を上る際に動悸と胸の苦しさを感じたという。 脈拍 120/分、整。血圧 136/72 mmHg。頸部触診で甲状腺の腫大を認める。心音では胸骨左縁第2肋間にⅢ/Ⅵの収縮期雑音を聴取するが、呼吸音には異常を認めない。手指に振戦を認める。 血液所見:赤血球 452 万、Hb 12.3 g/dL、Ht 36 %、白血球 8,900、血小板 23 万。血液生化学所見:総蛋白 6.1 g/dL、アルブミン 3.6 g/dL、AST 33 U/L、ALT 31 U/L、尿素窒素 13 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、TSH 0.1 μU/dL 未満(基準 0.5〜5.0)、FT3 30 pg/mL 以上(基準 2.2〜4.3)、FT4 10 ng/dL 以上(基準 0.9〜1.7)、抗 TSH 受容体抗体陽性。 現時点の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A71

35歳の経産婦(3妊2産)。妊娠33週に周産期管理目的で、自宅近くの産科診療所から紹介され受診した。既往歴は、30歳時および32歳時に、それぞれ骨盤位および既往帝王切開の適応で選択的帝王切開。身長 156 cm、体重 56 kg 妊娠前体重 48 kg 。体温 36.8 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 108/76 mmHg。現時点で自覚症状はなく、胎児心拍数陣痛図で異常を認めない。骨盤MRIのT2強調像を別に示す。 考えられるのはどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A72

67歳の男性。2か月前から持続する心窩部痛と背部痛を主訴に来院した。3か月間で体重が 10 kg 減少している。 意識は清明。腹部は平坦で、心窩部に径 5cmの固い腫瘤を触知する。 血液所見:赤血球 395 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 38 %、白血球 8,100。血液生化学所見:総蛋白 6.7 g/dL、総ビリルビン 0.7 mg/dL、AST 44 U/L、ALT 41 U/L、ALP 522 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 164 U/L (基準 8〜50)、アミラーゼ 51 U/L (基準 37〜160)、尿素窒素 13 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL。CEA 758 ng/mL (基準 5以下) 、CA19-9 950 U/mL (基準 37 以下)。腹部造影CTを別に示す。 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

第113回国家試験 A73

44歳の女性。紅斑、全身倦怠感および食欲不振を主訴に来院した。1か月前から瘙痒を伴う紅斑が四肢に出現したため皮膚科を受診し、抗アレルギー薬と副腎皮質ステロイド外用薬を処方されたが改善せず、紅斑は体幹にも広がった。同時に全身倦怠感と食欲不振も出現したため受診した。父親が血液疾患で死亡。 体温 38.5 ℃。脈拍 96/分、整。全身に紅斑を認める。両側の頸部、腋窩および鼠径部に径 1〜2 cm のリンパ節を6個触知する。 血液所見:赤血球 466万、Hb 14.4 g/dL、Ht 44 %、白血球 12,900 (異常リンパ球 25 %)、血小板 23 万。血液生化学所見:総蛋白 6.0 g/dL、アルブミン 3.0 g/dL、総ビリルビン 0.3 mg/dL、AST 28 U/L、ALT 15 U/L、LD 1,600 U/L (基準 176〜353)、尿素窒素 24 mg/dL、クレアチニン 1.3 mg/dL、空腹時血糖 90 mg/dL、Na 140 mEq/L、 K 4.1 mEq/L、Cl 102 mEq/L、Ca 12.3 mg/dL。背部の皮疹及び末梢血塗抹May-Giemsa 染色標本を別に示す。 行うべき治療はどれか。3つ選べ。

第113回国家試験 A74

6歳の女児。腹痛と血便を主訴に来院した。昨日から腹痛を訴え、本日血便がみられたため、母親に連れられて受診した。2日前に近所の店で焼肉を食べたという。 意識は清明。体重 20 kg。体温 37.5 ℃。脈拍 90/分、整。血圧 110/60 mmHg。呼吸数 20/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で臍周囲に軽度圧痛を認める。肝・脾を触知しない。腸雑音は亢進している。 尿所見:蛋白 (-) 、糖 (-)、ケトン体 2+、潜血 (-) 。血液所見:赤血球 420 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 42 %、白血球 12,300 (桿状核好中球 30 %、分葉核好中球 55 %、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 6%、リンパ球 7%)、血小板 21 万、PT-INR 1.2 (基準 0.9〜1.1)、APTT 32 秒 (基準対照 32.2)。血液生化学所見:総蛋白 7.5 g/dL、アルブミン 3.9 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 28 U/L、ALT 16 U/L、LD 300 U/L (基準 175〜320)、CK 60 U/L (基準 46〜230)、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、血糖 98 mg/dL、Na 131 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 97 mEq/L。CRP 4.5 mg/dL。便中ベロトキシン陽性であった。 この患者で溶血性尿毒症症候群<HUS>の発症に注意するために有用な血液検査項目はどれか。3つ選べ。

第113回国家試験 A75

前夜から12時間絶食して早朝空腹時に採血した検査で、総コレステロール250mg/dL、トリグリセリド120mg/dL、 HDL コレステロール80mg/dL であった。 Friedewaldの式を用いてLDL コレステロール値の推測値を求めよ。 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数第1位を四捨五入すること。 解答:○○○ mg/dL

第113回国家試験 B1

インフォームド・コンセントについて正しいのはどれか。

第113回国家試験 B2

ヘルシンキ宣言で述べられているのはどれか。

第113回国家試験 B3

肺炎で入院中の患者の診療記録を以下に示す。 下線部のうち SOAP の記載法にあてはまらないのはどれか。

第113回国家試験 B4

病原体と感染予防策の組合せで適切でないのはどれか。

第113回国家試験 B5

成人と比較したときの乳児の特徴はどれか。