平成28年度(第111回)医師国家試験問題|午後81問〜午後100問
第111回国家試験 D48
78歳の男性。腹痛のため救急車で搬入された。1年前から便秘傾向であったが特に医療機関を受診していなかった。最近になって便秘がひどくなり、昨晩、就寝前に下剤を服用した。今朝、排便時に突然、強い腹痛が生じたため救急車を要請した。 意識は清明。身長 172 cm、体重 64 kg。体温 38.4 ℃。心拍数 120/分、整。血圧 160/92 mmHg。呼吸数 28/分。表情は苦悶様で屈曲側臥位である。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は板状硬で強い圧痛を認める。表在リンパ節を触知しない。 血液所見:赤血球 320 万、Hb 10.7 g/dL、Ht 30 %、白血球 15,300、血小板 18 万。血液生化学所見:総蛋白 6.6 g/dL、アルブミン 3.4 g/dL、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 50 U/L、ALT 62 U/L、LD 330 U/L (基準 176〜353)、ALP 270 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 63 U/L(基準 8〜50)、アミラーゼ 140 U/L(基準 37〜160)、CK 110 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 28 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、尿酸 6.0 mg/dL、血糖 130 mg/dL、HbA1c 5.0 %(基準 4.6〜6.2)、総コレステロール 178 mg/dL、トリグリセリド 190 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 98 mEq/L。CRP 11 mg/dL。腹部 CTを別に示す。 適切な対応はどれか。
第111回国家試験 D49
24歳の男性。左片麻痺を主訴に来院した。10 日前から全身倦怠感と微熱とを自覚していた。今朝9時に突然左手足が動きにくくなったため受診した。胸痛はなかった。22 歳時に僧帽弁置換術を受けている。 意識は清明。身長 181 cm、体重 68 kg。体温 38.1 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 152/92 mmHg。顔面を含む左半身に不全麻痺を認める。胸骨左縁第3肋間を最強点とする拡張期雑音を聴取する。脊柱側弯と漏斗胸とを認める。 血液生化学所見:AST 36 U/L、ALT 40 U/L、LD 182 U/L(基準 176〜353)、CK 68 U/L(基準 30〜140)。CRP 6.5 mg/dL。 左片麻痺の原因として最も考えられるのはどれか。
第111回国家試験 D50
72 歳の男性。血尿を主訴に来院した。1か月前から間欠的に血尿を自覚していたが、3日前から右側腹部の違和感も出現したため受診した。 尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1 視野、白血球2〜5/1 視野。尿細胞診はクラスⅤ。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。腹部造影 CT の水平断像と冠状断像とを別に示す。全身検索でリンパ節転移と遠隔転移とを認めない。膀胱鏡検査で異常を認めない。尿管鏡による生検で高異型度尿路上皮癌の細胞を認める。 治療法として適切なのはどれか。
第111回国家試験 D51
28歳の女性。妊娠に関する相談のため来院した。3年前から全身性エリテマトーデス<SLE>で自宅近くの医療機関に通院しており、副腎皮質ステロイドの内服で、病状は1年以上前から安定している。近い将来、妊娠を希望しており相談のため紹介されて受診した。体温 36.5 ℃。脈拍 68/分、整。血圧 108/62 mmHg。顔面、体幹および四肢に皮疹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。下腿浮腫を認めない。 (持参した前医の検査データ)尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。血液所見:Hb 12.0 g/dL、白血球 4,200、血小板 15 万。血液生化学所見:尿素窒素 10 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.1 mg/dL、リウマトイド因子<RF> 80 IU/mL (基準 20 未満)、抗核抗体 1,280 倍(基準 20 以下)、抗DNA 抗体(RIA 法) 12 IU/dL(基準 7 以下)、抗 Sm 抗体陽性、抗 RNP 抗体陽性、抗 SS-A 抗体陽性、抗リン脂質抗体陰性、CH50 35 U/mL(基準 30〜40)、C3 84mg/dL(基準 52〜112)、C4 29 mg/dL(基準 16〜51)。診察の結果、妊娠は可能と判断された。 この患者でみられる自己抗体で妊娠の際、胎児に影響を与える可能性があるのはどれか。
第111回国家試験 D52
61歳の男性。腹部膨満感と体重増加とを主訴に来院した。2週間前から腹部の膨満感が出現し体重が 8kg 増加した。これまでに心疾患を指摘されたことはない。 意識は清明。身長 160 cm、体重 69 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 60/分、整。血圧 124/62 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨隆し波動を認める。圧痛を認めない。下腿に中等度の浮腫を認める。 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 348 万、Hb 11.1 g/dL、Ht 34 %、白血球 3,500、血小板 7.0 万、PT-INR 2.0(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 2.7 g/dL、総ビリルビン 1.3 mg/dL、直接ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 31 U/L、ALT 26 U/L、γ-GTP 51 U/L (基準 8〜50)、アンモニア 28 μg/dL (基準 18〜48)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 101 mEq/L。胸部エックス線写真と心電図とに異常を認めない。 適切な治療はどれか。2つ選べ。
第111回国家試験 D53
72 歳の男性。頻尿と尿勢低下とを主訴に来院した。1年前から頻尿を自覚していたが、2か月前からは排尿に時間がかかるようになっている。 直腸指診で前立腺は小鶏卵大、表面平滑、弾性硬で硬結を認めない。尿所見に異常を認めない。 PSA 1.8 ng/mL(基準 4.0 以下)。排尿日誌で1回排尿量 180〜250 mL、昼間排尿回数 10 回、夜間排尿回数 2回。国際前立腺症状スコア 18 点(軽症 0〜7、中等症 8〜19、重症 20〜35)。QOLスコア 5点(軽症 0〜1、中等症 2〜4、重症 5〜6)。尿流測定の結果を別に示す。腹部超音波検査で残尿量は120 mLである。経直腸超音波像を別に示す。推定前立腺体積は 35 mL である。 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
第111回国家試験 D54
22歳の男性。恐怖感を主訴に来院した。中学3年生の11月、高校受験でストレスを感じていた。そのころ友人と一緒に食事をした際、喉が詰まったような感じで飲み込みにくくなった。その後も友人との食事の際、同じような状態が続き、外食をすると全く食事が喉を通らなくなった。さらに見られているような気がして手が震えるようになった。家では普通に食事ができる。このため、大学入学後は友人と遊ぶことがほとんどない。今回就職を控え、仕事に支障が出るのではないかと考え受診した。診察時、質問に対して的確に回答し、陰うつなところはみられない。「自分でも気にすることはないと分かっているのに、何でこんなに緊張して食事ができないのか分からない」と述べる。神経学的所見を含めて身体所見に異常を認めない。 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
第111回国家試験 D55
36歳の初産婦。妊娠29週。胎動減少を主訴に来院した。妊娠初期の血液検査で抗D抗体陽性(抗体価16倍)だったため経過観察されていた。妊娠27週の時点で抗 D 抗体が 1,024 倍であったが胎児超音波検査で異常を認めなかった。16年前、妊娠初期に人工妊娠中絶手術を受けている。輸血歴はない。胎児心拍数陣痛図を別に示す。 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
第111回国家試験 D56
78歳の男性。左眼の眼痛と視力低下とを主訴に来院した。3日前に日帰りで左眼の白内障手術を自宅近くの眼科診療所で受けた。2日前の手術翌日の受診時、視力は左 0.8(1.2×-1.0 D)と術後経過は良好で、手術後に処方された点眼を続けるように言われたが、その日の夜から左眼の霧視を自覚するようになった。昨日から左眼痛も出現したため、手術を受けた診療所から紹介されて受診した。左眼の前眼部写真を別に示す。 適切な治療はどれか。2つ選べ。
第111回国家試験 D57
76歳の男性。発熱と右季肋部痛とを主訴に来院した。昨日から右季肋部痛が出現し、今朝まで持続している。 体温 38.1 ℃。血圧 124/86 mmHg。眼球結膜に黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右季肋部に圧痛を認める。 血液所見:白血球 17,600。血液生化学所見:総ビリルビン 6.9 mg/dL、直接ビリルビン 4.2 mg/dL、AST 371 U/L、ALT 297 U/L、ALP 531 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 237 U/L(基準 8〜50)、アミラーゼ 52 U/L(基準 37〜160)。CRP 16 mg/dL。腹部超音波検査で胆囊壁に異常を認めない。腹部CTを別に示す。 適切な対応はどれか。2つ選べ。
第111回国家試験 D58
52歳の女性。就寝中に呼吸が止まるのを夫に指摘されて来院した。3か月前から動悸と昼間の眠気とを感じている。4か月前からうつ病で内服治療中である。喫煙は 10 本/日を 30 年間。飲酒はビール 1,000 mL/日を 20 年間。 身長 161 cm、体重 78 kg。脈拍 76/分、整。血圧 156/104 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。簡易モニター検査後のポリソムノグラフィで無呼吸低呼吸指数は 26(基準5未満)、無呼吸の最長持続時間は 112 秒(基準9未満)、睡眠中の SpO2 は最低値 77 %、平均値 96 %、いびきの回数は 428/時間である。 この患者に対する働きかけとして適切なのはどれか。3つ選べ。
第111回国家試験 D59
46歳の女性。軽労作での呼吸困難を主訴に来院した。1年前から長時間歩行時の息切れを自覚していた。最近になって階段昇降や平地歩行でも息切れが出現するようになり、下肢の浮腫も自覚するようになったため受診した。 身長 155 cm、体重 80 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 76/分、整。血圧 130/60 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 90 %(room air)。胸部の聴診でⅡ音の亢進を認める。両下肢に著明な浮腫を認める。神経学的所見に異常を認めない。12誘導心電図と心エコー図とを別に示す。 この患者の病態の原因として考えられるのはどれか。3つ選べ。
第111回国家試験 D60
糖尿病患者に中心静脈栄養を開始した。速効型インスリンを混和した輸液で血糖値が安定したため、ブドウ糖とインスリンの割合を維持したまま明日から投与熱量を変更することとした。 明日からの輸液に混和すべき速効型インスリンの量を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数第1位を四捨五入すること。
第111回国家試験 E1
高齢者の誤嚥予防に有効なのはどれか。
第111回国家試験 E2
学校保健統計調査における小学生の主な疾病・異常被患率の推移を示す。 ②はどれか。ただし、①〜⑤はa〜eのいずれかに該当する。
第111回国家試験 E3
地域包括支援センターについて正しいのはどれか。
第111回国家試験 E4
健康日本 21(第二次)の基本方針に含まれないのはどれか。
第111回国家試験 E5
冠動脈について誤っているのはどれか。
第111回国家試験 E6
ワクチン接種率が向上することで期待されるのはどれか。
第111回国家試験 E7
災害医療について正しいのはどれか。