平成29年度(第112回)医師国家試験問題|午後-59問〜午後-40問

第112回国家試験 A61

83歳の男性。高血圧症のために定期的に受診している。10年前に高血圧症と診断され、カルシウム拮抗薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とを内服している。介護保険では要支援2の判定を受けており、週2回デイサービスに通っている。服薬アドヒアランスは良好であり、めまい、ふらつきなどの症状はない。 身長 162 cm、体重 53 kg。脈拍 72/分、整。診察室で測定した血圧 144/74 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。下肢に浮腫を認めない。患者が記録した最近2週間の家庭血圧を示す。 この患者に対する対応で適切なのはどれか。

第112回国家試験 A62

52歳の男性。両側の肺腫瘤を指摘されて来院した。2年前にS状結腸癌のため他院で手術を受けており、2日前に経過観察のため行われた胸部 CTで肺野に結節影が認められたため紹介されて受診した。喫煙は 20 本/日を 23 年間。 意識は清明。 身長 175 cm、体重 90 kg。体温 36.8 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 132/82 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。 血液所見: 赤血球 456 万、Hb 14.3 g/dL、Ht 44 %、白血球 6,500、血小板 18 万。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dL、アルブミン 4.3 g/dL、総ビリルビン 0.3 mg/dL、AST 19 U/L、ALT 40 U/L、LD 124 U/L(基準 176〜353)、クレアチニン 0.7 mg/dL、 Na 144 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 110 mEq/L、CEA 6.5 ng/mL(基準 5.0 以下)。 CRP 0.1 mg/dL。呼吸機能所見:VC 4.57 L、%VC 120 %、FEV1 3.81 L、 FEV1% 84 %。心電図に異常を認めない。肺野条件の胸部CTを示す。S状結腸に再発はなく、全身検索でも胸部CTで確認された病変以外に異常を認めなかった。 治療として最も適切なのはどれか。

第112回国家試験 A63

57歳の男性。食欲不振と肝機能障害のために入院中である。20歳台から連日日本酒3合を飲んでいたが、仕事に支障をきたすことはなかった。3年前から飲酒量がさらに増加し、毎日5合以上飲むようになった。1週間前から全身倦怠感を自覚し、仕事を休み始めた。それでも飲酒を続けていたが、3日前に著しい食欲不振で食事を摂れなくなったため外来受診し、血液検査で肝機能障害が認められて入院することになった。 入院時から夜間不眠があり、入院2日目から落ち着きなく歩き回り、夜間には「動物が壁を這っている」と訴えて不穏になった。このとき手指の粗大な振戦および著明な発汗がみられ、自分が入院していることが分からない様子であった。入院時の頭部 CT で異常を認めなかった。 まず投与すべき薬剤として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A64

55歳の男性。胸痛を主訴に来院した。1週間前から左下の歯痛を自覚していた。痛みは徐々に増強し、3日前から痛みが頸部へ広がり、2日前に胸痛も出現したため受診した。 意識は清明。体温 37.5 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 98/62 mmHg。呼吸数 24/分。右胸部で呼吸音が減弱している。血液所見:赤血球 482 万、白血球14,500(桿状核好中球 32 %、分葉核好中球 54 %、単球5%、リンパ球9%)、血小板 11 万。血液生化学所見:AST 61 U/L、ALT 69 U/L、尿素窒素 27 mg/dL、クレアチニン 1.2 mg/dL。CRP 36 mg/dL。縦隔条件の頸部CT、胸部CT及び矢状断再構成CTを示す。 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A65

68歳の女性。4回経産婦。外陰部の腫瘤感と歩行困難とを主訴に来院した。5年前から夕方に腟入口部に径3cmの硬い腫瘤を触れるようになり指で還納していた。1年前から還納しにくくなり、歩行に支障をきたすようになった。 身長 150cm、体重 58 kg。体温 36.5 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 134/88 mmHg。呼吸数18/分。腹部は軽度膨満、軟で、腫瘤を触知しない。腹部超音波検査で子宮体部に異常を認めないが、子宮頸部は6cmに延長している。いきみによって、子宮腟部は下降して腟外に達する。血液生化学所見に異常を認めない。 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A66

70歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。3年前から労作時の息切れを自覚し、徐々に増悪するため受診した。夜間睡眠中には自覚症状はない。43歳時に心房中隔欠損症の手術歴がある。気管支喘息の既往はない。喫煙は 20 本/日を47 年間。3年前から禁煙している。 体温 36.4 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 134/70mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 97 %(room air)。6分間歩行試験では SpO2の最低値は 91 % であった。胸部聴診では呼吸音は減弱し、軽度の rhonchi を聴取する。心エコー検査では、左室駆出率は保たれ推定肺動脈圧の上昇も認めない。呼吸機能所見: VC 3.40 L、%VC 92 %、FEV1 1.30 L、FEV1% 38 %。胸部エックス線写真と胸部CTとを示す。 初期治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A67

56歳の男性。胸背部痛のため救急車で搬入された。本日、事務仕事中に突然の胸背部痛を訴えた後、意識消失した。意識は数秒で回復したが胸背部痛が持続するため、同僚が救急車を要請した。 意識は清明。身長 163 cm、体重 56 kg。体温36.2 ℃。心拍数 92/分、整。血圧(上肢)右 194/104 mmHg、左 198/110 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 100 %(マスク 10 L/分 酸素投与下)。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。 血液所見:白血球 21,000。血液生化学所見:AST 15 U/L、ALT 15 U/L、LD 261 U/L (基準 176〜353)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン0.6 mg/dL、尿酸 6.4 mg/dL、血糖 115 mg/dL、Na 142mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl 107 mEq/L、心筋トロポニンT陰性。心電図に異常を認めない。胸部造影CTを示す。 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A68

35歳の女性。職場の健康診断で肝機能検査の異常を指摘されて来院した。自覚症状はない。昨年も同様の指摘をされたがそのままにしていた。飲酒は機会飲酒。常用薬はなく、自然食品やサプリメントも服用していない。 身長 163 cm、体重 56kg。体温 36.3 ℃。脈拍 56/分、整。血圧 116/62 mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。下肢に浮腫を認めない。 血液所見:赤血球 325 万、Hb 12.0 g/dL、Ht 32 %、白血球5,300、血小板 27 万、PT-INR 1.0(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 4.3 g/dL、総ビリルビン 0.7 mg/dL、AST 36 U/L、ALT 42U/L、ALP 852 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 542 U/L(基準8〜50)、空腹時血糖85 mg/dL、HbA1c 5.4 %(基準 4.6〜6.2)、総コレステロール 254 mg/dL、トリグリセリド 95 mg/dL。HBs 抗原陰性、HCV 抗体陰性。 考えられるのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A69

4歳の女児。手掌の発疹を主訴に父親に連れられて来院した。全身状態は良好である。保育園で同様の発疹を呈する児がいるという。来院時の手の写真を示す。 診断確定のため観察する必要がある部位はどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A70

54歳の女性。7時間前から心窩部痛を自覚したため救急外来を受診した。 意識は清明。体温 38.5 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 154/94 mmHg。腹部は平坦で、右季肋部に圧痛を認める。 血液所見:赤血球 433 万、Hb 14.0 g/dL、Ht 42 %、白血球12,400、血小板 17 万。血液生化学所見:アルブミン 4.5 g/dL、AST 24 U/L、ALT 18 U/L、LD 161 U/L(基 準 176〜353)、ALP 350 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 94 U/L(基準8〜50)、尿素窒素 21 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL。CRP 13 mg/dL。腹部造影CTを示す。 この患者に対する処置として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A71

64歳の女性。乳がん検診のマンモグラフィで異常を指摘され来院した。左乳房に長径約2cmの腫瘤を触知する。腫瘤は境界不明瞭で硬く圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。マンモグラムを示す。 次に行うべき検査はどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A72

82歳の女性。筋肉痛を主訴に来院した。2週間前の朝に、急に頸部、肩甲部、腰部、殿部および大腿部に筋肉痛とこわばりを自覚し、起き上がりが困難になり、症状が持続するため受診した。 意識は清明。体温 37.8 ℃。脈拍 84/分、整。血圧148/86 mmHg。 尿所見:蛋白(-)、潜血(-)。赤沈 110 mm/1時間。血液所見:赤血球 312 万、Hb 9.8 g/dL、Ht 30 %、白血球 10,200、血小板 43 万。血液生化学所見 : 総蛋白 5.9 g/dL、AST 29 U/L、ALT 28 U/L、LD 321 U/L (基準176〜353)、CK 38 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。免疫血清学所見:CRP 15 mg/dL、リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体陰性。 この患者で注意すべき合併症を示唆する症状はどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A73

53歳の男性。3か月前から持続する上腹部痛を主訴に来院した。25歳ごろからアルコールを多飲している。上腹部に圧痛を認める。 血液生化学所見:総ビリルビン 1.0 mg/dL、AST 84 U/L、ALT 53 U/L、ALP 258 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 110 U/L (基準8〜50)、アミラーゼ 215 U/L (基準 37〜160)、空腹時血糖 278 mg/dL、HbA1c 9.6 %(基準 4.6〜6.2)、CA19-9 32 U/mL (基準 37 以下)。腹部CTとMRCPとを示す。 この患者への指導として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A74

32歳の女性。乾性咳嗽を主訴に来院した。5年前から毎年、2月から5月までの間に乾性咳嗽を自覚していたが、今年も2月から同様の症状が出現したため受診した。アレルギー性鼻炎の既往がある。喫煙歴はない。体温 36.8 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 120/60 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 99 %(room air)。呼吸音に異常を認めない。胸部エックス線写真で異常を認めない。 次に行うべき検査として適切なのはどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 A75

24 歳の女性。発熱と左下腿の浮腫とを主訴に来院した。1年前から海水浴やスキーに行った際に顔面の紅斑が出現した。1か月前から 37 ℃台の発熱と顔面紅斑が持続し、1週間前から左下腿の浮腫を自覚したため受診した。 体温37.5 ℃。脈拍80/分、整。血圧 124/76 mmHg。呼吸数 12/分。SpO2 98 %(room air)。頰部と爪周囲とに紅斑を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。両手関節と肘関節とに圧痛を認める。左下腿部の腫脹と把握痛とを認める。 尿所見:蛋白 (±)、潜血 1+、沈渣に赤血球 5〜10/1視野、白血球 1〜4/1視野、細胞円柱を認めない。血液所見:赤血球 330 万、Hb 10.5 g/dL、Ht 32 %、白血球 3,200(桿状核好中球 20 %、分葉核好中球 45 %、好酸球 2%、好塩基球 1%、単球 3%、リンパ球 29 %)、血小板 12 万、PT-INR 1.1(基準 0.9〜1.1)、APTT 44.5 秒(基準対照 32.2)、D ダイマー 6.5 μg/mL (基準 1.0 以下)。血液生化学所見:総蛋白 7.4 g/dL、アルブミン4.0 g/dL、CK 52 U/L (基準 30〜140)、尿素窒素 16 mg/dL、クレアチニン0.6 mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.2 mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗核抗体 2,560 倍 (基準20 以下)、抗dsDNA抗体 107 IU/mL (基準 12以下)、CH50 17 U/mL (基準 30〜40)、C3 32 mg/dL (基準 52〜112)、C4 7 mg/dL (基準 16〜51)。 心電図、胸部エックス線写真および心エコー検査で異常を認めない。 次に行うべき検査はどれか。2つ選べ。

第112回国家試験 B1

標準予防策(standard precautions)について正しいのはどれか。

第112回国家試験 B2

院内の医療安全を推進する上で誤っているのはどれか。

第112回国家試験 B3

多数の傷病者が発生した場面でトリアージを行う際、脈拍 108/分、整、呼吸数14/分で、歩くことはできず、簡単な指示に従うことができる状態の患者に適用すべきトリアージタッグはどれか。

第112回国家試験 B4

成人の筋骨格系の診察において正しいのはどれか。

第112回国家試験 B5

造影CTを施行するにあたり事前に確認すべきこととして最も重要なのはどれか。