平成29年度(第112回)医師国家試験問題|午後41問〜午後60問
第112回国家試験 C37
1歳3か月の女児。長引く咳嗽と鼻汁とを主訴に母親に連れられて来院した。1週間前に 39 ℃台の発熱、鼻汁および咳嗽が出現し、かかりつけ医でセフェム系抗菌薬と鎮咳薬とを処方され、2日後に解熱した。その後も内服を続けているが、鼻汁と痰がらみの咳が続いている。鼻閉のために時に息苦しそうな呼吸になるが、夜間の睡眠は良好である。食欲は普段と変わらず、活気も良好でよく遊ぶ。呼吸器疾患の既往はない。 身長 75 cm、体重 10.2 kg。体温 37.1 ℃。脈拍 112/分、整。呼吸数 30/分。SpO2 98 %(room air)。咽頭に発赤と白苔とを認めない。心音に異常を認めない。鼻閉音を認めるが、呼吸音には異常を認めない。 患児に対する対応として適切なのはどれか。
第112回国家試験 C38
59歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。3年前から労作時の呼吸困難があったがそのままにしていた。健診で胸部の異常陰影を指摘されたため、心配になり受診した。 身長 172 cm、体重 70 kg。体温 36.3 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 128/84 mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 95 %(room air)。心音に異常を認めない。呼吸音は正常だが、両側の背部に fine crackles を聴取する。胸部エックス線写真と胸部CTとを示す。 別に示す flow-volume 曲線①〜⑤のうち、この患者で予想されるのはどれか。
第112回国家試験 C39
70歳の女性。数か月前から食後に心窩部痛があるため来院した。 体温 37.1 ℃。血圧 124/62 mmHg。眼球結膜に黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。 血液所見:赤血球 432 万、白血球 7,600、血小板 26 万。血液生化学所見:総ビリルビン 7.9 mg/dL、直接ビリルビン 5.2 mg/dL、AST 271 U/L、ALT 283 U/L、ALP 2,118 U/L(基準 115〜359)、γ-GTP 605 U/L(基準8〜50)、アミラーゼ 42 U/L(基準 37〜160)。CRP 6.1 mg/dL。ERCPを示す。 最も可能性が高いのはどれか。
第112回国家試験 C40
生後8か月の乳児。ぐったりしていると、母親に抱きかかえられて救急外来を受診した。児は呼吸、心拍および対光反射がなく、蘇生を試みたが反応なく、死亡が確認された。頭部や顔面に新旧混在した皮下出血の散在と両足底に多数の円形の熱傷痕とを認める。母親によるとこれまで病気を指摘されたことはなかったという。死後に行った頭部CTでは、両側に硬膜下血腫を認める。 最も考えられるのはどれか。
第112回国家試験 C41
10か月の乳児。お坐りができないことを心配した母親に連れられて来院した。4か月時に受けた健康診査では異常を指摘されなかった。 この児の神経学的評価に適しているのはどれか。
第112回国家試験 C42
45歳の女性。関節痛の増悪を主訴に来院した。5年前に両手指関節、両手関節および両肘関節の痛みが出現した。関節リウマチと診断され、サラゾスルファピリジン、非ステロイド性抗炎症薬および少量の副腎皮質ステロイドが処方された。2年前から関節痛が強くなったため、メトトレキサートの投与が開始され痛みは軽減したが、3か月前から増悪し、メトトレキサートが増量されたが効果は不十分で、日常の動作も困難となったため受診した。 心音と呼吸音とに異常を認めない。両側の示指、中指、環指の中手指節関節(MP関節)と両手関節および両肘関節の腫脹と圧痛とを認める。 血液所見:赤血球 420 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 39 %、白血球 7,200。血液生化学所見:AST 16 U/L、ALT 20 U/L、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン 0.5 mg/dL。免疫血清学所見:CRP 2.8 mg/dL、リウマトイド因子(RF)122 IU/mL (基準20未 満)、抗 CCP 抗体 86 U/mL(基準4.5未満)。HBs 抗原、HBs 抗体、HBc 抗体、HCV 抗体および結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法(IGRA)は陰性である。 次に投与する薬剤として適切なのはどれか。
第112回国家試験 C43
27歳の男性。1か月前に乾性咳嗽と呼吸困難が出現し、軽快しないため受診した。4年前から液晶パネル製造工場に勤務している。胸部エックス線写真で両肺野にすりガラス陰影を認める。胸腔鏡下肺生検で直径1μm前後の微細粒子を認める。 この患者が曝露した物質として考えられるのはどれか。
第112回国家試験 C44
67歳の男性。3週間前に脊髄梗塞を発症し、下肢対麻痺を呈している。殿部に皮膚潰瘍を合併し、治療に難渋している。殿部の写真を示す。 この病変に関係するのはどれか。 《画像掲載不可》褥瘡の画像
第112回国家試験 C45
72歳の男性。脳梗塞で入院し、急性期治療を終え、現在は回復期病棟でリハビリテーションを行っている。右半身麻痺と嚥下障害が残存しているが、病状が安定してきたので退院を見据えて療養環境を調整することになった。 多職種連携における職種と役割の組合せで誤っているのはどれか。
第112回国家試験 C46
日齢0の新生児。在胎 35 週1日で早期破水があり、同日に経腟分娩で出生した。 出生時は身長 44 cm、体重 1,960 g、頭囲 30.0 cm で、心拍数は 120/分であった。自発呼吸が微弱で全身にチアノーゼを認めたため、酸素投与を開始した。啼泣時に強直してチアノーゼとSpO2の低下とを認める。両側の多指症および多趾症と両側停留精巣とを認める。合併する腹壁異常の写真を示す。 基礎疾患を診断するために行うべき検査はどれか。 《画像掲載不可》臍帯ヘルニアを認める画像
第112回国家試験 C47
31歳の男性。頭重感、倦怠感および悪心を主訴に来院した。大企業の事務職をしている。半年前の職場の改修工事の際に刺激臭を感じ、その後、頭重感、倦怠感および悪心が出現するようになった。職場を離れると症状は消失し、休日は症状が出現しない。既往歴に特記すべきことはない。 意識は清明。身長 165 cm、体重 61 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 112/78 mmHg。身体所見に異常を認めない。1か月前に行われた職場の健康診断とストレスチェックとで問題を指摘されていない。 まず行うべきなのはどれか。
第112回国家試験 C48
65歳の男性。スクーターで走行中に対向車と正面衝突して受傷したため救急車で搬入された。腹部から腰部の痛みを訴えている。 意識はほぼ清明。体温 35.8 ℃。心拍数 140/分、整。血圧 80/50 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 100 %(リザーバー付マスク 10 L/分 酸素投与下)。頸静脈の怒張を認めない。迅速簡易超音波検査 (FAST)で異常所見を認めなかった。 ショックの原因として最も考えられるのはどれか。
第112回国家試験 C49
中年の男性。道路で血を流して倒れているところを通行人に発見された。救急隊到着時には心肺停止状態で、病院に搬送されたが死亡が確認された。背部から出血があり、血液を拭き取ったところ確認された創の写真を示す。 死亡を確認した医師が、まず行うべきなのはどれか。
第112回国家試験 C50
40歳の初妊婦。妊娠6週の問診で、20歳から喫煙を開始し、現在も 20 本/日喫煙していることが分かった。 妊婦への説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
第112回国家試験 C51
73歳の女性。意識障害のためかかりつけ医から紹介されて家人とともに受診した。 現病歴:25年前に C 型肝炎ウイルス感染を指摘された。6か月前に腹水貯留を指摘され、肝硬変と診断されてかかりつけ医で利尿薬を処方されていた。今朝から呼びかけに対する反応が鈍くなり徐々に傾眠状態になったため、かかりつけ医から紹介されて受診した。 既往歴:28歳の分娩時輸血歴あり。64 歳時に食道静脈瘤に対し内視鏡的治療。 生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:傾眠状態だが呼びかけには開眼し、意思疎通は可能である。身長 161cm、体重 59 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 76/分、整。血圧 104/80 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95 %(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様であり、眼球結膜に軽度黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨隆しているが、圧痛と反跳痛とを認めない。腸雑音に異常を認めない。肝・脾を触知しない。直腸指診で黒色便や鮮血の付着を認めない。両上肢に固定姿勢保持困難(asterixis)を認める。両下腿に浮腫を認める。 検査所見(3週間前のかかりつけ医受診時):血液所見:赤血球 368 万、Hb 11.8g/dL、Ht 38 %、白血球 3,800、血小板 4.0 万、PT-INR 1.3(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 3.1 g/dL、総ビリルビン 1.8mg/dL、AST 78 U/L、ALT 66 U/L、LD 277 U/L(基準 176〜353)、ALP 483 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 132 U/L(基準 8〜50)、血糖 98 mg/dL。
確認すべき症状として最も重要なのはどれか。
第112回国家試験 C52
73歳の女性。意識障害のためかかりつけ医から紹介されて家人とともに受診した。 現病歴:25年前に C 型肝炎ウイルス感染を指摘された。6か月前に腹水貯留を指摘され、肝硬変と診断されてかかりつけ医で利尿薬を処方されていた。今朝から呼びかけに対する反応が鈍くなり徐々に傾眠状態になったため、かかりつけ医から紹介されて受診した。 既往歴:28歳の分娩時輸血歴あり。64 歳時に食道静脈瘤に対し内視鏡的治療。 生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:傾眠状態だが呼びかけには開眼し、意思疎通は可能である。身長 161cm、体重 59 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 76/分、整。血圧 104/80 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95 %(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様であり、眼球結膜に軽度黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨隆しているが、圧痛と反跳痛とを認めない。腸雑音に異常を認めない。肝・脾を触知しない。直腸指診で黒色便や鮮血の付着を認めない。両上肢に固定姿勢保持困難(asterixis)を認める。両下腿に浮腫を認める。 検査所見(3週間前のかかりつけ医受診時):血液所見:赤血球 368 万、Hb 11.8g/dL、Ht 38 %、白血球 3,800、血小板 4.0 万、PT-INR 1.3(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 3.1 g/dL、総ビリルビン 1.8mg/dL、AST 78 U/L、ALT 66 U/L、LD 277 U/L(基準 176〜353)、ALP 483 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 132 U/L(基準 8〜50)、血糖 98 mg/dL。
検査所見(来院時):血液所見:赤血球 356 万、Hb 9.7 g/dL、Ht 35 %、白血球4,000、血小板 8.6 万、PT-INR 1.3(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.4g/dL、アルブミン 3.0 g/dL、総ビリルビン 6.3 mg/dL、直接ビリルビン 2.1mg/dL、AST 78 U/L、ALT 62 U/L、LD 303 U/L(基準 176〜353)、ALP 452 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 103 U/L (基準 8〜50)、アミラーゼ 95 U/L (基準37〜160)、アンモニア 170 μg/dL(基準 18〜48)、尿素窒素 28 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 5.9 mg/dL、血糖 98 mg/dL、総コレステロール 106 mg/dL、トリグリセリド 90 mg/dL、Na 132 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 100 mEq/L、α-フェトプロテイン<AFP>468 ng/mL(基準 20 以下)。CRP 1.0 mg/dL。腹部超音波像と腹部造影 CTとを別に示す。 次に行うべき検査はどれか。
第112回国家試験 C53
73歳の女性。意識障害のためかかりつけ医から紹介されて家人とともに受診した。 現病歴:25年前に C 型肝炎ウイルス感染を指摘された。6か月前に腹水貯留を指摘され、肝硬変と診断されてかかりつけ医で利尿薬を処方されていた。今朝から呼びかけに対する反応が鈍くなり徐々に傾眠状態になったため、かかりつけ医から紹介されて受診した。 既往歴:28歳の分娩時輸血歴あり。64 歳時に食道静脈瘤に対し内視鏡的治療。 生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。 家族歴:特記すべきことはない。 現症:傾眠状態だが呼びかけには開眼し、意思疎通は可能である。身長 161cm、体重 59 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 76/分、整。血圧 104/80 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95 %(room air)。眼瞼結膜は軽度貧血様であり、眼球結膜に軽度黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨隆しているが、圧痛と反跳痛とを認めない。腸雑音に異常を認めない。肝・脾を触知しない。直腸指診で黒色便や鮮血の付着を認めない。両上肢に固定姿勢保持困難(asterixis)を認める。両下腿に浮腫を認める。 検査所見(3週間前のかかりつけ医受診時):血液所見:赤血球 368 万、Hb 11.8g/dL、Ht 38 %、白血球 3,800、血小板 4.0 万、PT-INR 1.3(基準 0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 3.1 g/dL、総ビリルビン 1.8mg/dL、AST 78 U/L、ALT 66 U/L、LD 277 U/L(基準 176〜353)、ALP 483 U/L (基準 115〜359)、γ-GTP 132 U/L(基準 8〜50)、血糖 98 mg/dL。
来院時の血液検査所見から現時点で肝腫瘤に対する治療適応はないと判断した。 その根拠として最も重要なのはどれか。
第112回国家試験 C54
84歳の女性。ふらつきがあり、頻回に転倒するため夫と来院した。 現病歴:2か月前に腰椎圧迫骨折を起こし、自宅近くの病院に入院した。入院後は腰痛のためベッド上で安静にしていた。徐々に痛みは改善し、1か月後、自宅に退院したが、退院後にふらつきを自覚し、転倒するようになった。ふらつきは特に朝方に強い。難聴と耳鳴りは自覚していない。入院した病院で頭部を含めた精査を受けたが原因が明らかでなく、症状が改善しないため受診した。 既往歴:68 歳時から糖尿病と高血圧症、75 歳時から逆流性食道炎と不眠症。 生活歴:夫と人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。入院までは夫と飲食業をしていた。リハビリテーションは週1回続けている。 家族歴:父親は胃癌で死亡。母親は肺炎で死亡。弟は糖尿病で治療中。 現症:意識は清明。身長 150 cm、体重 36 kg(2か月前は 40 kg)。体温 36.0℃。脈 拍 72/分、整。血圧 146/78 mmHg (立位 3分後 138/74 mmHg)。呼吸数16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。脳神経に異常を認めない。眼振を認めない。四肢に明らかな麻痺を認めない。筋強剛を認めない。握力 14 kg(基準 18 以上)。指鼻試験陰性。Romberg 徴候陰性。明らかな歩行障害を認めない。通常歩行速度 0.7 m/秒(基準 0.8 以上)。手指振戦を認めない。振動覚と腱反射は正常である。 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖 1+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球 403万、Hb 12.1 g/dL、Ht 38 %、白血球 7,400。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、AST 22 U/L、ALT 14 U/L、LD 278 U/L(基準 176〜353)、CK 90 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 21 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖128 mg/dL、HbA1c 7.4 %(基準 4.6〜6.2)、総コレステロール 186 mg/dL、トリグリセリド 100 mg/dL、HDL コレステロール 50 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 97 mEq/L。心電図に異常を認めない。高齢者総合機能評価<CGA>:基本的日常生活動作(Barthel 指数) 100 点 (100 点満点)、手段的日常生活動作 (IADL スケール) 8点 (8点満点)、Mini-Mental State Examination<MMSE>27 点 (30 点満点)、Geriatric Depression Scale 2点(基準5点以下)。
患者の状態として最も考えられるのはどれか。
第112回国家試験 C55
84歳の女性。ふらつきがあり、頻回に転倒するため夫と来院した。 現病歴:2か月前に腰椎圧迫骨折を起こし、自宅近くの病院に入院した。入院後は腰痛のためベッド上で安静にしていた。徐々に痛みは改善し、1か月後、自宅に退院したが、退院後にふらつきを自覚し、転倒するようになった。ふらつきは特に朝方に強い。難聴と耳鳴りは自覚していない。入院した病院で頭部を含めた精査を受けたが原因が明らかでなく、症状が改善しないため受診した。 既往歴:68 歳時から糖尿病と高血圧症、75 歳時から逆流性食道炎と不眠症。 生活歴:夫と人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。入院までは夫と飲食業をしていた。リハビリテーションは週1回続けている。 家族歴:父親は胃癌で死亡。母親は肺炎で死亡。弟は糖尿病で治療中。 現症:意識は清明。身長 150 cm、体重 36 kg(2か月前は 40 kg)。体温 36.0℃。脈 拍 72/分、整。血圧 146/78 mmHg (立位 3分後 138/74 mmHg)。呼吸数16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。脳神経に異常を認めない。眼振を認めない。四肢に明らかな麻痺を認めない。筋強剛を認めない。握力 14 kg(基準 18 以上)。指鼻試験陰性。Romberg 徴候陰性。明らかな歩行障害を認めない。通常歩行速度 0.7 m/秒(基準 0.8 以上)。手指振戦を認めない。振動覚と腱反射は正常である。 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖 1+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球 403万、Hb 12.1 g/dL、Ht 38 %、白血球 7,400。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、AST 22 U/L、ALT 14 U/L、LD 278 U/L(基準 176〜353)、CK 90 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 21 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖128 mg/dL、HbA1c 7.4 %(基準 4.6〜6.2)、総コレステロール 186 mg/dL、トリグリセリド 100 mg/dL、HDL コレステロール 50 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 97 mEq/L。心電図に異常を認めない。高齢者総合機能評価<CGA>:基本的日常生活動作(Barthel 指数) 100 点 (100 点満点)、手段的日常生活動作 (IADL スケール) 8点 (8点満点)、Mini-Mental State Examination<MMSE>27 点 (30 点満点)、Geriatric Depression Scale 2点(基準5点以下)。
患者のふらつきと易転倒性の原因として最も考えられるのはどれか。
第112回国家試験 C56
84歳の女性。ふらつきがあり、頻回に転倒するため夫と来院した。 現病歴:2か月前に腰椎圧迫骨折を起こし、自宅近くの病院に入院した。入院後は腰痛のためベッド上で安静にしていた。徐々に痛みは改善し、1か月後、自宅に退院したが、退院後にふらつきを自覚し、転倒するようになった。ふらつきは特に朝方に強い。難聴と耳鳴りは自覚していない。入院した病院で頭部を含めた精査を受けたが原因が明らかでなく、症状が改善しないため受診した。 既往歴:68 歳時から糖尿病と高血圧症、75 歳時から逆流性食道炎と不眠症。 生活歴:夫と人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。入院までは夫と飲食業をしていた。リハビリテーションは週1回続けている。 家族歴:父親は胃癌で死亡。母親は肺炎で死亡。弟は糖尿病で治療中。 現症:意識は清明。身長 150 cm、体重 36 kg(2か月前は 40 kg)。体温 36.0℃。脈 拍 72/分、整。血圧 146/78 mmHg (立位 3分後 138/74 mmHg)。呼吸数16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。脳神経に異常を認めない。眼振を認めない。四肢に明らかな麻痺を認めない。筋強剛を認めない。握力 14 kg(基準 18 以上)。指鼻試験陰性。Romberg 徴候陰性。明らかな歩行障害を認めない。通常歩行速度 0.7 m/秒(基準 0.8 以上)。手指振戦を認めない。振動覚と腱反射は正常である。 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖 1+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球 403万、Hb 12.1 g/dL、Ht 38 %、白血球 7,400。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、AST 22 U/L、ALT 14 U/L、LD 278 U/L(基準 176〜353)、CK 90 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 21 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖128 mg/dL、HbA1c 7.4 %(基準 4.6〜6.2)、総コレステロール 186 mg/dL、トリグリセリド 100 mg/dL、HDL コレステロール 50 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 97 mEq/L。心電図に異常を認めない。高齢者総合機能評価<CGA>:基本的日常生活動作(Barthel 指数) 100 点 (100 点満点)、手段的日常生活動作 (IADL スケール) 8点 (8点満点)、Mini-Mental State Examination<MMSE>27 点 (30 点満点)、Geriatric Depression Scale 2点(基準5点以下)。
来院時の内服薬を調べたところ、経口血糖降下薬、降圧薬、ビスホスホネート製剤、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、プロトンポンプ阻害薬が処方されていた。 まず減量を検討すべきなのはどれか。